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- 2022.04.05 Tuesday
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カオスの息子(闇)エレポスと娘(夜)ニュクスの結婚で
生まれたのは明るいアイテルとヘメラ。
そしてもう一人がこの世とあの世の境界を流れる河の渡し守カロン。
この三人に続いて夜の女神は単独でヒュプノス(眠り)とオネイロス(夢)を誕生させ、
人間に眠りの休息と夢の暗示を与えてくれました。
アントニオ・デ・ペレーダの 『貴紳の夢』
貴紳とは紳士的で身分が高い人のこと。
彼が見る夢はゴテゴテで何がしたいのか分からない。
オネイロスの住処は死の国に近く太陽が沈む場所とされ、
そこには象牙の門と磨かれた角の門が用意されています。
虚飾や偽りで人を振り回す夢は象牙の門を潜り、
人に真実を気付かせる夢は磨かれた角の門を潜ります。
先が見えない曲がり角は特に注意しなくては・・
区別がつかないエレポス(闇の男)とニュクス(夜の女)は
ガイア・タルタロス・エロスに続いてカラッポの巨大な箱(カオス)を構成します。
天空や光が生まれるのは次の段階で、
宇宙の始まりは暗黒の世界だったことが分かります。
ということは明るい愛はあり得ない?
その後、融合状態のエレポスとニュクスは正反対のアイテルとヘメラさらに冥界の渡し守カロンを生みます。 死者の魂を冥界に運ぶ役目を担ったカロンはステュクス河(憎悪)あるいはアケローン河(悲嘆)を管理するのが仕事で、この世とあの世の境界線上を行ったり来たりしています。 冥界の番犬ケルベロスがそうだったようにカロン(無愛想な老人)もまた音楽好きで、妻を失い悲嘆に暮れていたオルフェウスの竪琴に魅了され無条件で船に乗せ、オルフェウスの調べをもっと聴いてみたくなったカロンは仕事を放棄。 果てはオルフェウスと共に死者の国に至ってしまうカロン。 きっと感化されやすいタイプなんだろうね。 私情が絡むと本来の仕事を忘れてしまうのが暗黒夫婦の息子カロン。 そんな彼の兄弟だったのが天上の澄んだ空気と明るい昼でした。 ちなみにカロンが要求する渡し賃は安い。
日向で生まれた海の男イワレビコが神武天皇になれたのは
危険な渦に巻き込まれなかったから。
ルートをたどるとそこには関門海峡・来島海峡・鳴門海峡という日本を代表する渦潮があり、
グルグル巻きの渦中に近付きつつ落ちることはありませんでした。
牛を大食いした罪で姿を怪物に変えられたのが渦潮を擬人化したカリュブディス。
ガイアとポセイドンの間に生まれたカリュブディス(女)の仕事というのが
海水ごとあらゆるものを飲み込んだかと思うと
飲み込んだものすべてを勢いよく吐き出すこと。
このように彼女が大量に飲み込んで吐き出すことから渦が発生し、
当然のことながら船は近付けない。
しかし波乗りが得意だった神武天皇の船なら
怪物カリュブディスを乗りこなせる?
あるいは失敗して海の藻屑?
海は母のように広くて大きくて怖い。
永遠の光に包まれ幸せに満ち溢れた地はこの世にはない。
しかしギリシア神話に登場するヒュペルボレイオス人(北風の彼方に住む人)は
この理想郷で平和に暮らしていたという伝承がある。
彼らは太陽神アポロンを崇拝する民族で、
アポロンをこの世に出現させたレトはヒュペルボレイオス人だったとか・・
ヘラの狂気をボレアス(北風)にたとえると、
レトは粗暴なボレアスに屈しないに強さを身につけていました。
その強さはどこから来るのか?
寒さ(生きるうえで辛いことすべて)を寒さと感じないヒュペルボレイオス人という血筋。
白梅に 明くる夜ばかりと なりにけり 蕪村 (辞世の句)
雪にたとえられる白梅の後姿は明るい。
死を意識した蕪村が感じた死の世界はきっと明るかったんだと思う。
トロイア戦争の火種になった黄金のリンゴの持ち主 (最も美しい女神) として名乗りを上げたのがオリンポス山在住のヘラ・アテナ・アフロディテ。 ゼウスはその審判を捨て子のパリス (本名アレクサンドロス) に委ねています。 イデ山に捨てられた彼 (実際はトロイア王子) を育てパリスと命名したのがイエス・キリストと同じ職種の羊飼いでした。 特殊な生い立ちのパリスは国土の広さや戦争における勝利には興味を示さず、アフロディテの "世界中で最も美しい女性と結婚させてあげる” という言葉に心を動かされます。 パリスが独身で相手の女性も独身ならハッピーエンドで話は終り。 ところがパリスには奥さんがいて、世界で最も美しい女性と目されたヘレネ (スパルタ王女) も独身ではなかったことから話はややこしい四角関係へと発展していきます。
先妻を捨て絶世の美女ヘレナ (旦那と娘がいる) を誘拐するよう仕向けたのが自ら不倫を実践するアフロディテで、ヘレネもまたパリスに同調するような感じで家族を捨ててパリスの元へ。 絶世の美女は恋の奴隷? ヘレネはスパルタ王妃だったレダと白鳥 (性愛を象徴) に姿を変えたゼウスの間に生じた卵の殻を破って出てきた子とされ、通常の人間が持ち合わせているはずの思慮分別が欠落しています。 そんな環境で生まれたヘレネを後押ししたのが性愛を重視するアフロディテ。 神々が仕掛けた罠に落ちるとその行き先はタルタロス?
自国を滅亡させるという予言で捨てられたパリスは生き残り、先妻に哀しみを与えヘレネを振り回しています。 一番悪いのは奥さんがいるのに美しい女性を求めたパリス。 こうして
トロイア滅亡の予言は現実の世で具現化していきます。