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    パニック・ルーム

    • 2010.04.30 Friday
    • 22:20
       

    高層建築物が建ち並ぶマンハッタンを背景にクレジット・タイトルが紹介されるように、舞台となるのはマンハッタン中心部。そんな利便性の高い場所に豪邸を構えることができるのは大富豪ぐらいで、シングル・マザーとなったメグがこの豪邸に立ち入ることができたのは富豪の旦那と離婚したから。いわゆる慰謝料としてこの家を手にすることになったのが主人公メグと11歳の娘(初見では息子に見える)サラ。4階建ての豪邸にはエレベーターや緊急事態が発生した時の隠れ家(パニック・ルーム)まで用意されていました。

           
    ラスト映像で感じたこの映画のテーマは罪と罰。先日観たフィンチャー監督の“セブン”もキリスト教世界の7つの大罪を扱った内容で、セブンより説教がましくないのがヨカッタ。生命を脅かされるような事態に直面した時、人はどのような行動を取るのか。危険な目に遭遇しパニック・ルームに隠れた母と娘がパニックを引き起こした不審人物と果敢にも対決する映画。大人の男三人に対して母と娘がペアを組む女性二人。どう考えても不利な立場に置かれているメグとサラですが、外部からは誰も侵入できないパニック・ルームに隠れたことが幸いとなり強盗を相手に戦闘開始。

                    

    ジョディ・フォスターが演じたメグは夫の浮気が原因で離婚直後という設定で、少なからず心の傷を抱えています。ワインで何とか気を紛らわそうとしているけれど彼女が受けていた心の傷は結構大きい。そんな状況の中、新たな第一歩を踏み出そうとしていた丁度その日に遭遇したのが強盗。偶然の闖入ではなくパニック・ルームの地下に大金が眠っていることを知っての犯行でした。以前から金銭トラブルを抱えていたのが先の富豪で、パニック・ルームもそのために用意していたらしい。

    大金が隠されているその部屋に隠れた二人はその事実を何も知らない。“取るものを取ってこの家から出て行って!”とカメラに向かって叫ぶメグ。パニック・ルームには他の部屋を監視するテレビ・モニターが設置されていて、外部と話すことは可能。だから内部から外部にメッセージを送ることはできても、外部の声は内部には届かない。そんな特殊な部屋で突然の闖入者を撃退しようとしていたのが母と娘。娘のサラも持病を抱えていたのに男たちに立ち向かう強い精神力の持ち主で、一般に多いオロオロしているだけの少女ではありません。外見通り少年っぽい少女で、男っぽいメグの娘が中性的魅力のサラ。

          

    パニック・ルームの地下に眠る大金を盗み出すために集まったのが富豪の甥ジュニアとパニック・ルームの設計者バーナム、そして黒マスクの残虐そうな男ラウール。三人もの男が女性二人(一人はまだ子供)と対峙し次第に追い詰められていく筋書きは痛快! あらゆる知能と体力を駆使して対立する彼らですが、ホコロビが見えてきたのが男組。特にラウールの粗雑さが表面化し、そのラウールを撃つのがバーナム。優しい性分のバーナムと雑なラウールは初めから合わない感じだしタイプがまるで違う二人(考えるバーナムと暴力に訴えるラウール)なので撃たれても仕方ないかな。

         
    人間の普遍的テーマである罪と罰は聖書にも記されていて、最後の場面はまさに十字架に磔にされたイエス・キリストの処刑を思い出しました。その刑を受けることになるのがパニック・ルームに精通していたはずの黒人バーナム。サラの命の恩人でもあった彼が手にした大金は風に舞い、大の字になったバーナムが最後に映し出されます。犯罪者ではあったけれど、メグもどこかでバーナムを助けようとしていた雰囲気も感じられる。パニック・ルームの設計者バーナムは初めからこの部屋に入ることはできないと断言していたけれど、最後に成功させ大金を手にします。しかしこの屋敷から離れる前に彼に下された罰。罪人ではあったけれどバーナムが一番人間的魅力に溢れていたように感じました。


    * 監督 デヴィッド・フィンチャー    * 
    2002年(米)作品

    * 出演 ジョディ・フォスター    フォレスト・ウィテカー  


    ★ フィンチャー監督のこだわりは罪を犯すこと?

    サヤの中

    • 2010.04.29 Thursday
    • 22:13
               

                

              二月後半ぐらいから咲き始めたソラマメの花。

            間違いなくソラマメの花が実を結んだ結果という名残の実。

      重力に逆らい空に突き上がっていた実(三月末頃)が次第に垂れてきました。

         

          生まれて初めてソラマメの収穫をして驚いたのがサヤの中。

       

           フワフワの白いベッドに横たわる贅沢な環境のソラマメ。

        しかもツメツメではなく、自分の居場所をタップリ確保しています。

          こんなにユッタリした環境で育っていたとは知らなかった。

          英語でbroad beanと称される所以はサヤの中にあったのかも。

                  

              風流な 空豆気分の まめおとこ(忠実男)

    酩酊と快楽

    • 2010.04.28 Wednesday
    • 22:25
                   


    酒の神ディオニッソスの母は人間の女性セメレ、そして父は人間に姿を変えていたゼウス。
    血筋の半分は人間でしたが、残り半分は神々のトップに君臨するゼウスの血。そんな立場にあったゼウスがセメレと肩を並べることで誕生させたのが半人半神のディオニッソス。しかし酒の神誕生に至るには紆余曲折があり、妊娠6ヶ月のセメレはゼウスの怒りに触れ雷光で焼き殺されるという事件が起こります。事件発生の原因となったのが又してもゼウスの正妻ヘラの嫉妬。愛人セメレの子(6ヶ月の胎児)を何とか生かそうとした父は自分の太ももに縫い込むことで、ヘラの目から隔離。

     
    母の胎内で6ヶ月、父親の太ももで3ヶ月を過ごしたディオニュッソス(若いゼウスという意味を含む)。酒の神が誕生するまでの経緯はこのように複雑な様相(父が母を殺す)を呈していました。注目すべきことは違うグループに属していた父(神)と母(人)の間に誕生したのが酒の神で、生まれて間もないディオニッソスは母と同じようにヘラに追われることに・・ そして行き場を失っていたディオニュッソスを育て上げたのが森の精の一人シーレーノスというオヤジ。妖精的な感じがする森の精から大胆にかけ離れた酒飲みオヤジがシーレーノスで、外見も極めて悪い。酒を飲んでは森の中でふらついているノンベーオヤジが意外にも知恵者だったようで、その事実を聞きつけシーレーノスに近付いたのが快楽主義者ミダス王。

     
    彼はディオニュッソスの師であり養父でもあったシーレーノスに聞いてみたいことがありました。“人間の幸せとは何か?”を。ではミダス王が幸せの模索をしていたのかというと、答えはノー。すでに王の立場にあった彼が考える幸せの定義は確立していました。王になり多くの黄金を手に入れることが彼の幸せのあり方で、ミダス王は自分の考え通り自分の人生を歩んでいました。快楽主義者の行動パターンは自ら王になって黄金を手にすること? しかしその黄金を手にしたことが彼の命取りにもなっていくのですが、残酷な時間を体験していないその時の王は気楽なもの。

     
    さて話は酒飲み且つ知恵者シーレーノスが考える幸せのあり方。ミダス王に質問されたシーレーノスは以下のように答えています。「人間の幸せはハッキリしてる。つまりこの世に生まれてこないことだな。もし間違って生まれてきたらサッサと死んでしまうこった。」 このことを聞いたミダス王はフリーズ状態で、しばし絶句。
    わざわざ知恵者を自分の城に引っ張り込んだにもかかわらず、シーレーノスの突飛な考えを酒による酩酊のせいにして自分を納得させたのがミダス王。

     
    その後、自分が触れたものすべてが黄金に変わるというパワーをディオニュソスによって授けられます。初めは喜び勇んでいたミダス王ですが、自分の食べ物や愛する子供まで黄金に変わってしまうことを体験。喜びの表情は険しくなり、自分の考えに間違いがあったことを悟ります。このことを機にミダス王はキラキラの黄金生活から簡素な自然生活へと方向転換を図り、オリンポス神以前の原始の牧羊神パーンを崇拝するようになっていきます。そのパーン信仰がアダとなり王様の耳はロバの耳に・・ 
    酒の神に進言を仰いだり、オリンポス以前の神を信仰する特異体質のミダス王。
    乱れることにおいては共通していたシーレーノスとミダス王・・  そして二人のもう一つの共通点が快楽主義者!  

    げんげ

    • 2010.04.27 Tuesday
    • 22:20

           げんげんの 下で仏は 生れけり     正岡子規

     

    “げんげん”とは一般にレンゲ草と呼ばれている野の花のことで、その和名が“げんげ”。ゲンゲン・ゲゲバナ・ゲゲナという名前でも呼ばれていたようで、子規が託した句の中の“下(げ)”との関わりが気になる。蓮華坐(座)と呼ばれる台に座っているのが一般の仏像ですが、子規が考える世界ではゲンゲンの下で生まれるのが仏。  

             仏像はゲンゲンの上に、仏はゲンゲンの下に?


          


       最近はトント少なくなったような気がするレンゲ草(葉もカワイイ)が

           神社の石垣のそばで雑草に混じって咲いていました。

    人間の目ではこんな感じ(上の写真)にしか見えないけれど、カメラのレンズを通すとこの世のものではないような世界(下の写真)が広がっていました。


         

            気品あるこの花に惹かれるのは蜂だけではなく、

       人も思わず見とれてしまう美を秘めていたのがレンズを通したレンゲ草。

            横から見ても上から見てもキレイものはキレイ!

         

       いくつかの花(中国原産のマメ科)が輪になり水平方向に咲いています。

                 この真ん中に座るのが仏像?

    細長い茎はひしゃげそうだし、レンゲの魅力を台無しにしてしまう感じがするんだけど、それでも真ん中に座ろうとするの?

     
    ところでゲンゲンの下に何があるのか。もちろんゲンゲンの根ですが、その根に無理やり侵入することで発生するのが根粒(根瘤)という粒状のもの。この根粒の中にいるのがゲンゲンと共生関係にある根粒菌。冒頭の句に表現されたゲンゲンの下にあったのは根粒菌ということになり、お互いの利益を享受する共生を構築していました。ゲンゲンの美しさは下で支える根粒菌がいたから。 その根粒菌から生まれるのが仏と想定すると・・フ〜ム! 根粒菌(建立金)から仏?    

    シラン

    • 2010.04.26 Monday
    • 22:28
             この花は何という名前かしらん・・  シラン。
          
    知らん?              そうシラン。 

    花の名前を知っていた人物が花の名前を知らなかった人物に教えた名前はシラン。

         花の名前を知らなかった人物は“シラン(紫蘭)”という名前を
                 記憶することができたのか・・
      

        
           赤い茎に左右分かれて咲くシランの花は垂れ気味。

        
          目線を少し上に向けると左右に分かれたばかりの蕾が・・

             
        さらに目線を上に向けると垂れずに上を向いた蕾が寄り添っています。

            
       個性的な咲き方をするシランですが、こんな個性があるとは知らんかった!

         

           花が咲くタイミングで茎の色が変色しているような感じ。
         
    大きな葉に埋もれるようにして茎を出すシランは繁殖力が強く、
              
    ホッタラカシの知らん振り状態でも大丈夫!
           
    世話がかからない分、反対に増えすぎて困るのがシラン。
            
    モオッ〜知らん!と言いたくなるぐらい増殖力旺盛で、
        
    根(正しくは鱗茎という芋状のもの)を取り除くのがこれまた大変!

        
              唇弁の縦に並んだ白いフリルは何のため?
            
      シランとは 誰にも言わさぬ 意志表示 

    歓楽通り

    • 2010.04.25 Sunday
    • 22:32
         

    第二次世界大戦を機にかつて日本にも存在した娼館(遊郭)は姿を消しました。
    遠いフランスにもその潮流は押し寄せ、男に快感をもたらす遊女の居場所もなくなりつつありました。戦勝国アメリカの意向に従い夢の娼館オリエンタル・パレスは消える運命にあり、隔離された男と女だけが知る睦み物語も同時に消えることを余儀なくされた時代を背景にした映画。主人公プチ=ルイは娼館で生まれた(父は客、母は娼婦)男の子で、娼婦たちの肩を揉んだり背中のファスナーを上げるのが彼の仕事。普通の男は女のファスナーを下ろすのが仕事、そしてプチ=ルイはその逆。

     
    一人のママだけではなく多くのママによって育てられた彼は女性の世話を焼くのが苦にならない男の子へと成長。男の世話は女が焼くもの・・という常識にとらわれない考えのプチ=ルイは娼婦の間で気に入られ、外の男社会に飛び出すことなく自分の生涯を遊女に捧げる夢を追いかけます。彼の夢は運命の女性と運命の出会いをし、その女性を世界中の誰より幸せにすること。外の男社会でこんな言葉を発っしようものなら鞭打ちの刑か、ひどい場合は斬首?


    しかし幸いにも彼が居たのは女ばかりの娼館だったので逆に彼女たちの間では人気者。
    男の道を大きく踏み外したまま特殊な夢を追いかけていた彼の願いは叶い、運命の女性マリオンと出会います。娼婦として新たに加わったマリオンの表情は暗い。そんな彼女の夫を目指したのがプチ=ルイかと思いきや、彼がマリオンのためにしたことは彼女の恋人探しという奇妙な展開。自分の一生をかけてマリオンを幸せにしようとした男が選択したのは自分以外の男探し。


                          

    奇妙な関係を構築するマリオンとプチ=ルイ。
    彼の夢はこの世でマリオンと夫婦になることより、違うナニカを求めていそう。ルコント監督が得意とする夢の世界における男女の一体感? あるいは男社会から逃避したいプチ=ルイの女性変身願望? 
    もしくはプチ的立場を利用してマリオンの脳に侵入すること? いずれにしても彼が男社会に通用するはずはなく、社会もこのような男を求めてはいない。しかし女性の目から見ると女に尽くす男となり、女社会では評価が高い?

     
    そんな彼に愛された娼婦マリオンは歌手として舞台に立つ夢を持っていました。そのキッカケとなるラジオ番組のオーディションを紹介したのはもちろんプチ=ルイ。
    男でありながらマリオンの母親的役割を果たしていた彼はマリオンと一緒に夢を追いかけます。多くの観衆の前でレティシア・カスタ自身が披露したマリオンの夢舞台を現在のプチ=ルイが懐かしむように思い出す物語構成になっています。そして今・・

    彼が生涯愛し続けようとしたマリオンはいない。

           

       “私の手のひらにそう書いてあった いつかあなたに出会う日が来ると 
     どのように出会うのかは分からないけど 
    あなたを愛していれば出会えるはず”
      “髪に触れる日が来ると書いてあった あなたの瞳に幸せな私が映るはず 
     でも一つだけ心配 私を愛してくれるかしら 
    大丈夫 そう書いてあったから“
     
    消滅させられる娼館の前で客を待つ三人の娼婦もあの頃を思い出していました。
    しかし雨の中、寄って来る男は誰もいない。男が足早に向かう先は奥さんが待つ家庭で、娼婦たちが入れる場所ではない。

     
    “私たちにできることはコレしかないのに・・”という娼婦の言葉も虚しく、戦後の世界は健全化を求め睦み合う男と女の場を消し去ろうとしていました。男が女であっても許された時代は終わり、男は男でなければいけない時代が到来しつつあった境目に花開いたプチ=ルイの物語。絵画的風景の美しい川辺で流れていたスウィング・ジャズの時代は終り、新たなジャズが生まれようとしていました。そんな時代の変化に対応できなかったのがマリオンとプチ=ルイ。外の社会と隔絶していた二人は夢の世界でしか生きることができず、最後は哀しい結末が・・ しかし哀しいと感じるのは第三者で、彼らの夢は成就したのかもしれない。


    * 監督 パトリス・ルコント    * 2002年(仏)作品

    * 出演 パトリック・ティムシット   レティシア・カスタ


    ★  赤線に対抗するのは白線それとも黒線?

     

       YouTube - 映画『歓楽通り』より 手のひらに書いてあったから♪

    八重のヤマブキ

    • 2010.04.24 Saturday
    • 22:14
                   


     七重八重 花は咲けども 山吹の 実の一つだに なきぞ悲しき    後拾遺和歌集

     

       ヤマブキには一重咲きと八重咲きの二種類があり、八重ヤマブキは結実しません。

        その理由は一重ヤマブキのオシベが花弁に変化したものが八重ヤマブキだから。

                    そんな勝手なことあり?

               自然界の不思議をまたしてもヤマブキに発見!

                 

    八重ヤマブキには実がならないことを表現した冒頭の歌にはもう一つの伝説が詠み込まれています。室町時代の武将として名高い太田道灌にまつわる話に登場するのがヤマブキと蓑。
    鷹狩りをしていた道灌がにわか雨に遭い、途中で鷹狩りをやめて蓑借りに農家を訪れます。

       蓑を借りたいと申し出た道灌に対し、農家の娘が差し出したものは山吹の一枝。

      “実の(蓑)一つだになきそ悲しき”という洒落が込められていたにもかかわらず、

                道灌はその娘の真意を察知できなかったよう。

     その後、歌の道に精進する道灌誕生のキッカケを作ったのが蓑のない貧しい農家の娘。

                武具や蓑を必要とする道灌はこれを機に卒業?

           

     世の中に 鳥も聞こえぬ 里もがな ふたりぬる夜の 隠れ家にせむ   太田道灌 

     

                 ところで山吹色の花を咲かすヤマブキ。

              万葉集にも山吹を詠んだ気になる歌がありました。

      

    山吹の たちよそひたる 山清水 汲みに行かめど 道のしらなく   高市皇子

     

    宮中で急死した十市皇女のために詠んだのが異母兄弟(天武天皇が父)の間柄になる高市皇子。歴史が伝える十市皇女は父(天武天皇)夫(大友皇子)そしてこの歌の作者(高市皇子)など周囲の男たちに翻弄された女性でした。彼女の母(額田王)もその時代を代表する二人の天皇(天智・天武)に愛された絶世の美人だった女性で、母娘とも周囲の男性が放っておけない何かを秘めたタイプだったのかも・・ 歌の感じでは若くして突然の死に見舞われた十市皇女を追いかけようとしているのかな。

     
      
    山清水が湧く場所に咲いているのが黄泉を連想する山吹ということになり、

             死者とかかわっているのが山吹。
    特に八重ヤマブキは結実することなく散る花で、高市皇子が歌に託した山吹は八重?
            種を残せなくてもオシベが変化した華麗な花弁で
             見る者の目を楽しませてくれる八重ヤマブキ。
         道灌が歌の道に目覚めたのも山清水が湧く清き場所に咲く花で、
         そう簡単にたどり着ける場所ではないということが分かります。
         名前の後ろの“市”は同じでも前の部分が違っていた高市皇子。
          高を捨て十に変えれば山清水を汲むことができるのかもネ。
             

    百大夫

    • 2010.04.23 Friday
    • 22:10
             

    神世七代の最後に誕生した夫婦(イザナギ&イザナミ)に天津神が命令した言葉は“このただよへる国を修理り(つくり)固め成せ”。新たな国を造れという命令ではなく、海の上でフワフワただよっている国を修理せよという命令でした。天津神による国造りの実践者は海で対立するナギとナミの夫婦神でしたが、その意志は天津神のもの。どこかが壊れた状態だったと思われる国の修理を命じた天津神は一ヶ所に固め成すことが好きで、海の上でフワフワしているのが嫌い?

     
    その後、夫婦の交わりで誕生した第一子(蛭子)と第二子(淡島)は子の範疇には入れてもらえず、葦船に乗せられ流される運命をたどります。女神から男神に声をかけたことが原因で蛭子と淡島は海上を漂うゴミのような漂流者。天津神が最も嫌うのがフワフワ漂うことだったので、漂流者の蛭子と淡島の居場所は陸地(日本)にはない。特に蛭子はエビスとも読めることから恵比寿(夷・戎)信仰とも結びつくようになり、漂流者だった蛭子はいつの間にか福の神として日本の各地で祀られることになっていきます。


    その理由として考えられるのが岸に流れ着いた漂着物は海の向こうからやって来る神と同一という考え方で、
    流れに身を任せていた蛭子は結果的に波が打ち寄せる陸地にたどり着きました。親に捨てられ家もなかった蛭子が住む家を建ててくれるよう頼んだことで完成したのが現在の西宮神社(兵庫県西宮市)。もちろん祭神は蛭子神で、その蛭子神を広く宣伝して回ったのが人形遣いの傀儡師(くぐつし)。カイライシ(人を操り思い通りに行動させる)とも読める傀儡師の元祖と言われているのが百大夫という謎の人物で、西宮神社本殿西に百大夫社という末社が鎮座しています。


    傀儡師発祥の地、そしてその祖となる百大夫出身の地が西宮で、
    その地に流れ着いたのが蛭子神。互いに惹かれ合う何かがあったとしか思えないような話に仕上がっている傀儡師と蛭子の背景に一体何があるのか。不具の子と見なされた蛭子の居場所は陸地にはなかったはず。しかし百大夫と一緒なら大丈夫な何かがあったのかも。しかも傀儡師が蛭子という名を世間に広めたことなどを考慮すると二人を結び付ける見えない絆があったような・・

               
    また蛭子を戎や夷のイメージで考えると洗練されていない田舎人タイプが蛭子神ということになり、天津神の好みには合わない? 漂う国から固まる国を目指していた天津神に対して、漂う蛭子神を引き受けたのが百大夫を先祖にもつ傀儡師。吉原や島原などの遊女が信仰対象にしていた百太夫は帰る場所のない人たちを守る神のようで、欠陥者をゴミのように捨て去ることしかしない天津神とは住む世界が違います。
         
    人形を操るのが上手な正体不明の百大夫に聞いてみたい。
             
    この解釈は何点? 百点! オオキニ!

    モクレン

    • 2010.04.22 Thursday
    • 22:33
      白いコブシの花が終った頃、咲き始める(三月末頃)のが同グループの木蓮。
        
     コブシ同様、縦長の殻を半分にパカンと割って咲き出します。

                
         クサカンムリに雷と書くモクレンの蕾は天を目指してしるかのよう。

             
         殻を割って出てくるモクレンの蕾は直立状態で、花弁は濃い紅色。
                   
    しかし花弁が開くと・・

         

              何やら神秘的な色合いで、触れることは厳禁?


      

            隙間から覗かせてもらうと、ますますスゴイ世界が・・

     

               木の蓮(はちす) 極楽浄土の 世界かな

    すみれ

    • 2010.04.21 Wednesday
    • 22:13
                    散歩中に視線が合ったスミレ(菫)。 
            
    横向きに咲くスミレは自分のそばを通りかかる人を
              ジッと見つめているようなポーズでした。

       


           見つめ合いの際、気になったのが同一ではない
    5枚の花弁。

    微妙に形や色が異なり、そのうちの2組(上弁・側弁)が左右対称になっています。

          垂れて目立つ一枚の花弁が唇弁(下弁)と呼ばれているもので、

             それぞれの花弁に名前が付いているのも珍しい。

     また唇弁の後ろに距(きょ)と称する管状の突出部があるのがスミレ最大の特徴。

          横向きに咲くことで背後にある距(甘い蜜がある)の存在を
                隠しているような気もするのですが・・

               

      一夜草とか二夜草という異名を持つスミレですが、完結の三夜草にはなれない。

             何故なら野に咲くスミレは摘まれるものだから。

          一夜・二夜まではよくても三夜目を共にできないのがスミレ。

            ほとんどの花は他家受粉の解放花であるのに対して、
              
    スミレは自家受粉の閉鎖花で種を残します。

        では何のために表の顔(一般に見る写真のようなスミレ)があるのか。
                   裏(秘密)を隠すため?

            
    この表の顔に寄り付く虫は多いはず。しかし密がある距の部分にまで到達できる虫は少なく、スミレの方も初めから表の解放花で受粉しようとは思っていなのでは・・
    春に咲くのが一般に目にする解放花のスミレで、その後に咲き始めるのが閉鎖花のスミレ。今までスミレと思っていた花はスミレのホントの顔ではなく、種を形成する閉鎖花(蕾のまま)がスミレのホントかも。閉鎖花の中にあるオシベとメシベが結実することで種を残すのが本来のスミレということになり、摘まれる必要性はもしかして近親的受粉?

     

       菫咲く 春は夢殿 日おもてを 石段の目に 乾く埴土   北原白秋

     

      粘土状の埴土をカラカラにさせるぐらい日当たりのいい場所に咲いている菫。

         白秋が目にした咲く菫は解放花だったのか閉鎖花だったのか、
                 あるいは夢花だったのか。
              

    PR

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