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闇にとろける牛

                

あと数日後に迎える新年の干支 “丑” に因み牛に関する慣用句で物の色が黒いことを “牛驚くばかり” という風に表現しています。 また “牛つかむばかりの暗がり” という慣用句もあり、物の判別がつかない全くの暗闇を表現する言葉に牛が使われています。 牛は手でつかめるようなサイズではないことを考えると、余りの暗闇で血迷った人がつかめるはずがない牛をつかめるような錯覚に陥ってしまった状態を “牛つかむばかりの暗がり” と表現したのかな。 イマイチ分かりにくい“黒と闇”に関わっているのが巨大な図体の牛で、干支順の二番目に配されています。 家畜として人間にこき使われることが多い牛は、ロバと同じようにいつの間にか愚鈍なイメージが形成されてしまいました。

 
しかし牛の頭を持つ “牛頭天王” という神が日本でも信仰されていて、出身はインド祇園精舎の守護神と言われています。 祇園精舎の祇園とは祇樹給孤独園(ぎじゅぎつこどくおん)の略であるらしく、孤独な場所が祇園? 昔は祇園=花街=遊女と結びつき、歓楽街の代表的な場所が祇園でした。 そんな歓楽街のすぐ近くにある神社が“八坂神社(京都市東山区祇園町)”で、元々の名前は“祇園社”。 祭神は牛頭天王と同一視されたスサノオノミコト。 身売りして生計を立てていた遊女と荒々しさで高天原から追放されたスサノオノミコトが如何にして結びつくことになったのか。

 
また“午”ではなく“牛”の頭と書いてゴズと読む牛頭は、地獄にいるという牛頭人身の獄卒(地獄で亡者を責める鬼)。 イメージ的に地獄を支配する閻魔大王のような感じがします。 牛頭に縁がある祇園社で大晦日から元旦にかけて行われる有名な神事が“白朮(おけら)祭”。 木と木を擦り合わせて発火させた鑽火(きりび)に薬草のオケラ(朮)を混ぜてかがり火が焚かれます。 そして参拝者はその火を竹で編んだ火縄(に移し、その火が消えないように先端を回しながら家に持ち帰ります。 
そのオケラ火で雑煮を煮ると無病息災が得られるという神事で、燃やされる薬草のオケラから名付けられました。

単に火を発火させることだけが目的ではなく、オケラを燃やして発生する煙の方位が新年の吉凶に影響を及ぼしていたらしい。 風の影響を受けて流れる気まぐれな煙が新年の豊作・不作を決定していたってことですよね。 アテにしにくい煙がかつての日本の将来を占う役目を担っていました。 
その前にまず火が点くかどうかが問題で、憤怒の形相を表していた牛頭天王は怒りの火が点いていたように思います。

夜を徹して燃やされるオケラ火の方位を占う神事は、何故か牛頭天王を祀る祇園社で行われてきました。 カラダは人間だったけれど頭は牛だった牛頭天王は、もしかして牛の歩みのようにトロカッタ・・ すなわちオケラ? ダラダラ垂れる牛のよだれは汚いし牛の歩みはトロサの象徴。 しかし汚くてトロイ牛がたどり着いた場所は善光寺。 牛はカラスと同じように光物を好む習性があり漆黒の闇にとけるカラスのように巨体の牛も暗闇にとろける?

ウジウジしているように見えても最後は目的を達成できる生き物が牛! 食べた物を戻して何度も反芻する牛は、消化活動のノロサも天下一。 鈍いと非難される牛は、天神・菅原道真を乗せて大宰府に下ったという話も伝わっています。 ロバの背に乗ることが多かったキリスト教世界の聖家族。 日本では天神様が牛の背に乗って日本の西を目指しました。 
トロイ牛やロバを好むのは天に関わっている人たちで、トロイと言われれば言われる程 火花が飛び散るタイプだったのかも。

また “牛に対して琴を弾ず” という諺の意味するところは、魯国の公明儀が牛の前で高尚な曲を琴で弾いたらしいが牛は素知らぬ顔で草を食べ続けたという故事から成立した言葉。 言っちゃ悪いが(チットモ悪くないと実は思ってる)牛に琴を弾いて聞かせようとする人間の頭の方がイカレテルのとちゃうのん。 自分のペースを乱されたくなかった牛はトロイなりにいろいろ考えていたのかもしれません。 
風が吹くまま気の向くまま、煙の流れに左右される日本に合う動物はやはり牛のような感じ。

“牛にひかれて善光寺参り” という諺の由来は、善光寺近くに住んでいた不信強欲の老婆が晒しておいた布を隣家の牛が角に引っ掛け走ったのを老婆が追いかけたどり着いたのが善光寺だったという話がベースになっています。 スペインの国技になっている闘牛士が振りかざす赤い布に向かって行くのが牛。 赤色を判別できる可能性があった牛の角に引っ掛けた老婆の晒しの布とは赤い腰巻? 牛はユラユラ揺れていた晒しの布が好きだったのかそれともその布に苛立ったのか。 どちらにしてモ〜、ユラユラしたものに向かって行くのが牛の習性。 赤色か白色の揺れる晒しの布に興味を持った乳を垂らす牛が2009年を背負います。 


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  • 2018.06.22 Friday
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