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- 2022.04.05 Tuesday
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切ない・苦しい・辛い・悔しいなどマイナス感情は実際にその体験をしないと分からない。エスマルの青春期(70年代)に♪戦争を知らない子供たち♪という歌がヒットしましたが、その頃の日本を背負っていたのが実際の戦争体験者。それ以降、戦争体験者は当然減り続けているわけで当時の戦争を知らない子供たち(老年期)とその戦争を知らない子供たちに育てられた若者で構成されているのが現在の世界。想像する限り、我々が今感じる痛みは戦争時の痛みに比べ大したことはないのだろうと思う。
映画の主人公ジュリアンと同年齢で現実のユダヤ人迫害を目にしたルイ・マル監督は
何が何でもこの映画を完成させたかったという話が伝わっています。ルイ・マル少年が見た本物のユダヤ人迫害は切ない(映像から感じたエスマルの気持ち)ものでした。迫害から逃れることのできない運命を静かに引き受けるユダヤ人の凛とした強さと、戦争社会におけるナチスの非情な社会的統制を感じました。どれだけ不条理だと叫んでも通じないのが政治権力による統制システムで、理由があろうがなかろうがユダヤ人は連行され殺されるのが戦時下におけるルールでした。
舞台になったのは中高一貫のカトリック系男子校で、ゲシュタボ勢力が増大しつつあった1944年1月のこと。冒頭で紹介されるのが駅のホームでママに抱きついている甘えん坊ジュリアンくん。学校では負けん気が強い悪戯少年なのにママの前ではアカンタレの気の弱い男の子。家族とのクリスマス休暇を終えたジュリアンは汽車に乗り、神父さんが運営する寄宿舎を目指しています。車窓を隔てた向こうの景色は厳しい冬の寒さが感じられ、戦時下におけるナチス台頭を暗示しているかのよう。迫害されるべき対象にされたユダヤ人に関する知識はほとんどありませんが、映画に登場するユダヤ人少年ボネは賢い。
ゲシュタボ行動で不快だったのがレストランへの立ち入り。静かに食事をしているのに身分証明書を出せとか何とか・・うるせえ奴ら! ある紳士に証明書を提出させ、ココはユダヤ人禁止だとかツベコベ言うのが彼らの仕事。嫌がらせを好むタイプなのか、そんな不快な人間を相手にしなかったのがそのユダヤ人紳士。ボネもそうですが、ユダヤ人ってどちらかといえば無口なのかな。才能がありすぎて凡人相手にツマラン会話はできない? また体制に従うことを拒否する傾向も感じられ、体制側からすると排除したいのがユダヤ人?
* 監督 ルイ・マル * 1988年(仏・西独)作品
* 出演 ガスパール・マネッス ラファエル・フェジト