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    さよなら子供たち

    • 2010.05.27 Thursday
    • 22:22
               

    切ない・苦しい・辛い・悔しいなどマイナス感情は実際にその体験をしないと分からない。エスマルの青春期(70年代)に♪戦争を知らない子供たち♪という歌がヒットしましたが、その頃の日本を背負っていたのが実際の戦争体験者。それ以降、戦争体験者は当然減り続けているわけで当時の戦争を知らない子供たち(老年期)とその戦争を知らない子供たちに育てられた若者で構成されているのが現在の世界。想像する限り、我々が今感じる痛みは戦争時の痛みに比べ大したことはないのだろうと思う。

                 
    映画の主人公ジュリアンと同年齢で現実のユダヤ人迫害を目にしたルイ・マル監督は
    何が何でもこの映画を完成させたかったという話が伝わっています。ルイ・マル少年が見た本物のユダヤ人迫害は切ない(映像から感じたエスマルの気持ち)ものでした。迫害から逃れることのできない運命を静かに引き受けるユダヤ人の凛とした強さと、戦争社会におけるナチスの非情な社会的統制を感じました。どれだけ不条理だと叫んでも通じないのが政治権力による統制システムで、理由があろうがなかろうがユダヤ人は連行され殺されるのが戦時下におけるルールでした。

                  

    舞台になったのは中高一貫のカトリック系男子校で、ゲシュタボ勢力が増大しつつあった19441月のこと。冒頭で紹介されるのが駅のホームでママに抱きついている甘えん坊ジュリアンくん。学校では負けん気が強い悪戯少年なのにママの前ではアカンタレの気の弱い男の子。家族とのクリスマス休暇を終えたジュリアンは汽車に乗り、神父さんが運営する寄宿舎を目指しています。車窓を隔てた向こうの景色は厳しい冬の寒さが感じられ、戦時下におけるナチス台頭を暗示しているかのよう。迫害されるべき対象にされたユダヤ人に関する知識はほとんどありませんが、映画に登場するユダヤ人少年ボネは賢い。

     
    ボネを初めとしてユダヤ人少年を何とか救いたい一心で学校に連れて来たのが神父さん。当時の社会情勢からすると体制に逆らう要注意人物と見なされ、自分自身も危険な目に合うことは承知で彼らを救おうとしていました。学内で開催されたチャプリンの映画鑑賞会で笑い声に包まれていたあの穏やかな瞬間を思い出すと胸が痛い。またボネとジュリアンが共演した息の合うジャズピアノもヨカッタなあ。息が合うと素敵なメロディが生まれ、息が合わないとナチスに寝返ったジョゼフみたいになってしまう? 違う人間同士が息を合わせ何かを生み出せれば、お互いの人生が輝くはず。


             

    ゲシュタボ行動で不快だったのがレストランへの立ち入り。静かに食事をしているのに身分証明書を出せとか何とか・・うるせえ奴ら! ある紳士に証明書を提出させ、ココはユダヤ人禁止だとかツベコベ言うのが彼らの仕事。嫌がらせを好むタイプなのか、そんな不快な人間を相手にしなかったのがそのユダヤ人紳士。ボネもそうですが、ユダヤ人ってどちらかといえば無口なのかな。才能がありすぎて凡人相手にツマラン会話はできない? また体制に従うことを拒否する傾向も感じられ、体制側からすると排除したいのがユダヤ人?

     
    この映画を観て強く感じたのがルイ・マル監督の誠実な心。戦争を知らない人だらけで構成されているピンボケ世界に真摯な映像をプレゼントしてくれたルイ・マルに感謝したい。若い頃はフランス映画を敬遠する(観ても理解できなかったのだろうと思う)ことが多く、ルイ・マル作品に触れるようになったのはごく最近のこと。バタバタ生活からジックリ生活に切り替えたことで、フランス映画の良さが少し分かるようになりました。この映画を観てほしい。この映画は観なければいけない。何としてもこの映画は観る必要がある! だってニセモノばかりの世界でこの映画はホンモノ(思い出すと涙が出る)だから。

    * 監督 ルイ・マル    * 1988年(仏・西独)作品

    * 出演 ガスパール・マネッス   ラファエル・フェジト


    ★ ジュリアンの愛読書は男女が絡む千夜一夜物語。

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