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フロント・ページ

       

ロードショー公開されたタイミングで当時たまたま観た映画。結構心に刻まれていてもう一度観たいとズ〜ッと思っていた念願の作品がやっとDVD化され観ることができました。心に刻まれた理由が何だったのかを想像すると今がすぐに過去になってしまうジャーナリズムの世界でシカゴ・イグザミナー新聞社の編集長(ウォルター・マッソー)と記者(ジャック・レモン)が織り成す迫力あるトボケリズム。会話のテンポはかなり速く頭にガンガン響く喋りが続きます。登場人物全員が何かに怒っているような感じで言いたい放題なのに嫌な気分ではなくどこか懐かしい雰囲気。社会を皮肉る姿勢はピカイチで、そのドライな笑いがある種の快感をもたらしていたのかも。

              
題名のフロント・ページは新聞の第一面。“読者はトップしか見ないんだから”という言葉は俳優ウォルターが扮した編集長ウォルターの言葉。独断と偏見で新聞を構成するウォルターと組んで記事を書いていたのがジャック・レモン扮するヒルディ。
しかし彼は結婚退職を希望し、セワシイこの業界から足を洗おうとしていました。
そんな折、たまたまニュースで飛び込んで来たのが翌日の死刑執行を前にした死刑囚(アール・ウィリアムズ)の逃亡事件。黒人警官を撃った罪で死刑を宣告されていたウィリアムズは殺人の瞬間の気持ちを思い出させる実験に駆り出されていました。
死刑囚の心理状態をチェックしようとしていた医師の思惑通り、拳銃を持たされた死刑囚は犯人役の医師に向け発砲。この辺りのストーリー・・かなり笑えます。

                

多くの記者がたむろする煙草くさい部屋(警察署の一部)が主要舞台で、たまたまヒルディだけが居たその部屋に窓から転がり込んできたのが逃亡犯ウィリアムズ。ヒルディの記事で彼のことを知っていたウィリアムズは彼を信用してデスク(ローリングするカバーが付いている)の中に・・ その事実を知っていたのはヒルディとウィリアムズのことを気にかけていた娼婦モリー。この二人が他の連中に見つからないようあの手この手で対応する演技もなかなか見物。もともとは舞台劇だったようで、鑑賞する側の笑いを意識したツクリになっています。そしてその意図通り、観ている方は笑ってしまうんですね。こういうツクリが当時から好きだったみたいで、今回久しぶりに観ても好きだなあって感じました。


結婚相手のペギーがこの部屋に来ても仕事に熱中しているヒルディはトップ記事の作成に必死で、彼女のことは眼中にない様子。
ウォルターとの二人三脚で仕事に賭けるヒルディに結婚するつもりがあるのか疑問を感じ始めたのが若いスーザン・サランドンが扮したペギー。先に一度結婚に失敗していたヒルディは今度こそ!という結婚への意気込みは全くなさそうで、興味の対象は時間との勝負が明確に出る新聞記事の見出し作り。「時間と闘っている」と言うウォルターの言葉にペギーが返した言葉は「私たちもヨ」。生きている限り時間との闘いはすべての人に課せられた宿命のようなもの。1929年に設定された時代背景の中、忙しそうな音楽(楽しくて好き)とヒルディが打つタイプ音がその緊張を高めていました。


       

マッソー&レモンの二人が初めてコンビを組んだのが同じビリー・ワイルダー監督の“恋人よ帰れ!わが胸に(1966年)”。タイプが全く違う二人なのか、とてもよく似た二人なのか、あるいはその両方を備えた二人だったのか・・ いずれにしても名コンビであることには間違いなく、周囲を圧倒する二人を前面に押し出したウルサイ映画ですがオモシロイ! 特にウィリアムズが隠れていた机の持ち主(トリビューン紙の記者)に中を開けさせないために口から出まかせばかり言ってたイグザミナー編集長は人を診断するexaminer(調査官)みたいでした。その調査に合格したのがヒルディで、不合格だったのがトリビューン紙の記者(気のいいおじさん)。記者になるには気がいいだけでは務まらないってことかも。

 
この映画で改めてビリー・ワイルダー監督の偉才を感じました。他の作品はほとんど観ていないので、これからドンドン観てみたいという気にさせてくれた監督の70年代作品。若い頃は映画の嗜好が偏っていたのでワイルダー監督との接点はなかったですが、記憶の中に30年以上も留まり続けたフロント・ページがきっかけでワイルダー監督ファンになりそうな予感。緻密に計算されたユーモアと政治に対する執念のような皮肉がふんだんに散りばめられていて、監督の本音を感じます。フロント・ページの大きな見出しだけで判断する我々に対する皮肉もイッパイでした。初めから終わりまで高いテンションを維持し続けるパワー全開映画は寅年スタートにふさわしい。


* 監督 ビリー・ワイルダー   * 1974年(米)作品

* 出演 ジャック・レモン  ウォルター・マッソー  スーザン・サランドン


★ ラストでやっとこの世界から足を洗えたかに見えたヒルディを待ち受けていたのは・・またしても・・で足を洗うのは結構難しい!

         YouTube - The Front Page - Original Trailer 1974


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  • 2017.09.05 Tuesday
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