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- 2022.04.05 Tuesday
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満月の光を浴びると興奮して狼に変身するのが狼男(werewolf)。
このクレイアニメも狼男と同様、
満月の夜に野菜畑を破壊する兎男(were-rabbit)が出現します。
原題は『Wallace & Gromit in The Curse of the Were-Rabbit(兎男の呪い)』。
ウォレスとグルミットは仕事柄地下に兎を飼っていました。
そしてその兎とエネルギー交換したのがウォレスで、
彼は自覚がないまま月の狂気に導かれバニーボーイに変身します。
まず歯から変身するウォレスは神の毛がない。
ウォレスと敵対関係にあるヴィクターは中途半端に禿げている。
大邸宅に住むトッティントンの髪の毛は垂れ下がっていない。
飼い主ウォレスを助けたグルミットが手にしたものは黄金の人参。
一度死んだウォレスは最期に悪臭を放つチーズで蘇ります。
また地上を追われ行き場を失っていた兎は月に戻らず、
トッティントン邸の庭に住み着くことが許されメデタシメデタシの笑顔(チーズ)。
何も考えず気楽に楽しんで観て終わるだけではモッタイナイ映画がシュレック・シリーズ。 皮肉タップリの物語は製作関係者全員が楽しんでいる様子で、サラ〜ッと流しながら社会風刺を徹底的に試みた映画のような感じがします。 シリーズ一作目の新鮮さに比べ三作目ともなればマンネリ気味。 そんなマンネリ化を防ぐ手立てを講じている感じは全くない相変わらずのシュレック。 楽しく観終わった途端、イマイチ思い出せないという現象に陥ってしまいました。
一作目のような新鮮さはすでになく、もう少しシュレックに接したい二作目で満足した結果 三作目のシュレック3は観ている間はオモシロク感じていたのに観終わってしまうと何も思い出せない始末。 若い頃に体験したことはリアルに思い出せるのに、ある年齢を境に思い出せなくなる人間の脳のようにシュレックの新鮮さは三作目で遠い遠い存在に・・でも怪物らしく王位を継承せず自分らしさを追求することにおいてのシュレックは健在でした。
病に倒れたフィオナ姫の父親(カエル王)が死の間際でシュレックに王位継承を託そうとする話が中心になって物語は展開します。 死んだように見えたカエル王は一回目に生き返り二回目も同様に生き返り三回目にやっと死にます。 カエル王の葬儀の時に流れた音楽はポール・マッカトニー&ウィングスの“死ぬのは奴らだ(Live and let die)”。
世の中にリアル感を突き付ける緑の怪物シュレックとフィオナは、遠い遠い国で王と王妃にふさわしい人物として生きていくつもりはなくカエル王が託した遺言に従って魔法の学校に通う王位継承者を探しに行くのがシュレック。 自分が王位に就こうとしないのが怪物たる由縁。 怪物くんが気にいっている住居は森の沼地に生えている枯木。
不気味な風貌のシュレックとフィオナは人間世界に馴染みにくい夫婦。 夢っぽさを語らず徹底的にリアルを追求しようとする二人はむしろ現実に生きている人たちよりリアル感を感じます。 キレイゴトをそぎ落とした映像は、お伽話を題材にしながらお伽話のような現実世界に大きな影響を与えています。 白雪姫や眠り姫それにシンデレラたちの外側だけでなく内面を抉る作品に仕上がっています。 今まではお姫様のように扱われてきた三人が人間臭い醜悪さも披露しながらのファンタジ―的リアル追求型映画。
そして内面を抉ろうとしても内面がすでに外部にさらけ出されているのがシュレックとフィオナ。 彼女の父親も元の姿に戻って死にました。 ウォーター関係者は子供を産んだり死ぬ時は元の姿に戻っているのが一般的なのかも。 仮面を脱ぐことができた父親の娘フィオナが配偶者に選んだのは、初めから仮面がなかったシュレック。
シュレックにまとわり付いていたロバのドンキーも人間世界でウマク対応できない動物で、本音で生きることをなかなか許してくれないのが人間? 仮面をかぶり続けて死ぬのが人間で、最後に自分の仮面を剥ぐことができるタイプは怪物の血が流れてるのかも。 シリーズ三作目でシュレックと同じ耳を持つ怪物ベビーが三人誕生。
王位継承より泥遊びが好きだった父親に似てスリー・グリーン・ベビーズも泥遊びが大好き。 人前でオナラやゲップをしても平気なチビッコたちは、シュレックとフィオナに育てられてスクスク成長していくことでしょう。 シュレック伝説は本音で生きるための仮面剥ぎを皮肉タップリに示してくれました。
監督 クリス・ミラー 2007年 作品
声の出演 シュレック1&2と同じメンバー
※ 何かに拘束されない自由な楽しみ方を知っていたのがシュレック・ファミリーの 怪物組。
シュレックを初めとするグリーン系怪物に限らず、黄色系人種の我々日本人も娘とその父親そして娘と結婚した相手すなわちお婿さんの関係はそれほど良好とはいえません。 外見的笑顔で互いに取り繕ってみても内面は心を許しあっていないことの方が多く、真ん中に挟まった娘や母親が右往左往しているケースは結構あるように思います。 今回の “シュレック2” に設定された条件は、娘フィオナの結婚祝いを催そうとする彼女の両親が登場します。
シュレックの両親は無視されていて(話がややこしくなるし)、お婿さん立場に立たされたシュレックが妻の父親に嫌われ険悪ムードが高まるという父親と娘婿の男対決物語。 背景になる映像はアチコチの映画からパクッているらしいが、ドタバタしてヨウワカランかった。 要するにこの映画が言いたいのは映像より中身で判断してくれ? その中身がヨウワカランので判断しにくいけれど、結婚は愛し合っている二人が納得していればそれでいいというものではないということカナ?
フィオナは遠い遠い国に住んでいたハロルド国王とリリアン王妃の娘。 一般庶民の娘とは違い王家の血筋が流れていたのがフィオナ姫。 そんなフィオナが旦那に選んだのはグリーン・グリーン・グラスの沼地を生活拠点にしていたシュレック。 両親が暮らしていた遠い遠い国と旦那が暮らしていた沼地は、余りにも生活の仕方が違っていました。 フィオナの母親は娘が選んだ醜いシュレックに理解を示しますが、父親はシュレックに対して喧嘩腰で臨んでいます。 醜さむき出しのシュレックではなく、外見的ハンサムな男を自分の娘婿に望んでいました。
ところで思うのですが、この映画・・ どう考えても子供向きではありません。 お伽話のフリをしながら人間の内面を抉ろうとする仮面剥ぎ映画のような気もします。 シュレックは初めから剥がれているのでもうこれ以上剥ぎようがないけれど、フィオナの父は魔法の杖を振り回す魔女と裏でつながっていました。 人間社会において欠くことができないのが裏社会。 裏で魔女と手を結んでいたハロルド王は自分の娘を高い塔に監禁していた要注意人物。
高い塔から娘をさらったシュレックによって娘の呪いが解かれたかと思いきや、相変わらず醜いままの娘。 呪いが解けて美しくなるはずだと信じていた父親は、シュレックに出会ってよけいに落胆を増したように思います。 もしかしてフィオナは初めから呪いなどかけられていなかったのでは。 見にくいままの醜いフィオナはかけられてもいない呪いで高い塔生活が続きました。 地上に足がつかない塔から助け出してくれたのがフィオナによく似た醜いシュレック。 二人とも呪いなどには縁遠いグリーン系だったので、危険信号が点滅していたハロルド国王とは相性が悪かったのかも。
今回ロバのドンキーが白馬に変身してしまうのですが、全く似合っていないドンキー。 またイケメン風の男に変身したシュレックを気に入らなかったのは呪いから解かれる必要のなかったフィオナ姫。 そんな彼女をよく理解していたのが母親のリリアン王妃。 最後の場面で逆に呪いが解かれることになったカエルのハロルド王を抱き締めていたのがリリアン王妃。 フィオナは母親リリアンの血を強く受け継いでいたのかもしれない。
シュレックの元に送り込まれたスパイ役の長靴を履いた猫がいつか寝返るのではないかと思っていたけれど、この猫クン・・ 最後までシュレックのチカラになろうしてしていました。 そんな猫クンが気に入らないのが同じ哺乳類のドンキー。 猫クンにしてもドンキーにしてもシュレックを守ろうとする気持ちは、ともに誰にも負けなかったように思います。 耳が変チクリンなシュレックはハロルド王には嫌われたけれど、猫やロバ・・ 特にフィオナには一番気に入られていました。 醜いけれどモノゴトに対する安全性が高かった緑のシュレックは、王家の血筋(母系?)を受け継いでいたフィオナが結婚しようとした唯一の男で正真正銘の怪物でした。
* 監督 アンドリュー・アダムソン * 2004年 作品
* 声の出演 前回のメンバー ジュリー・アンドリュース アントニオ・バンデラス
最後にフィオナが下した決断は醜さが先行した怪物シュレックと夫婦になること。
子供の頃に童話を読んで夢をふくらませた記憶をCGアニメで具体化させてくれたのがこの映画。 日本でいう赤鬼とか青鬼のような怪物がシュレックで、顔・手・胴体すべてグリーンという人種的にどの民族にも属していないのがアグリー(ugly)なシュレック。 見始めは醜さが目立っていたシュレックですが、慣れてくると変チクリンな顔も気にならなくなります。 しかし愛読書は高い塔のテッペンで自分を助け出してくれる運命の人を待ち続けるプリンセスの話。 怪物を装いながらホントは眠り姫の王子になりたかったのがシュレック?
ハンプティ・ダンプティのような卵型の顔立ちで、髪の毛はもちろんなく鼻ペチャで幅のある大きな顎と渦を巻かない単純なラッパ型の耳が個性的! しかし一番に目を引くのは肌の色。 草色がグリーンなのでクサイ男がシュレック。 ウンコ(茶)色の泥あるいは泥色のウンコで身体を汚した後、沼地に飛び込んで屁をコクのがシュレックの日常。 絵を描くのも上手で好物の食べ物は人間の目玉。 多くの目玉をビン詰めにして保存食にしているみたい。 アッと驚く時間もないままシュレクの汚ならしさはピークに・・ しかし毎日キチンと泥シャワーを浴びて自分を汚しながらキレイを常に心がけているのがグリーン人種。
彼の住まいは人里離れた森の中の沼地。 太陽の光をサンサンと浴びないせいで森の中の石は苔で覆われています。 グリーンがいっぱいある場所を自分の住み処に構えたシュレックは、孤独だけれど気楽な毎日を送っていました。 そんなシュレックの元に逃げ込んできたのが人間と会話ができるロバのドンキー。 人間に飼われていたドンキーはわずかのお金と引き換えに売られる身だったところを運良く逃亡。 他にもお伽の国の主人公たちはみんな飼い主に売られ、檻に閉じ込められていました。
苔むす森の中で窪地になった場所を自分の家に選んだシュレックは、朽ち木の根元を自分の部屋にしています。 ディナータイムを演出する暖炉は格別にロマンチックで、目玉入りワインにウジウジしたウジ虫が主食。 ウジウジが大嫌いなのかウジウジが大好きなのか、怪物の主食はウジ虫に目玉。 そんな彼の元にファークアードに追放された童話の主人公たちが押し寄せ、シュレックの庭を占領。
人間を支配していたファークアード卿は大人の顔をした子供で自分の思う通りにならないと苛立つ男というか子供。 彼に仕えているのは鎧・兜で全身を覆っている軍人グループで、自分をさらけ出すようなことは一切しないメンバー。 ファークアードは空想上のヘラヘラした主人公が大嫌い! 彼は仕事もせず歌って踊るだけの実在感がない童話のキャラたちをシュレックが暮らす森の窪地に捨てました。
お伽の国の実体がないキラキラに自分の家を占領されたシュレックは怒りを爆発させ、ファークアードが統治し本人だけがパーフェクト・ワールドと信じていたロボット国に乗り込んで行きます。 入口はテーマパークのような感じで、人々の泣き笑いも裏にいた人物が示すプラカードでコントロール。 テレビ番組を制作するように機能していたのがパーフェクト・ワールドで、管理者は大きいものが好きな小さいファークアード。
テーマパーク的に管理・運営されていた国の軍人をバタバタやっつけたチカラ自慢のシュレック。 そのことがキッカケでファークアードが必要としていたフィオナ姫の救出を命じられ、ドンキーとシュレックの冒険大活劇が始まります。 特に印象深かったのは、火を吹く女ドラゴンが熱を上げたのは歌好き喋り好きのドンキーだったこと。 人間にはトントもてないドンキーが巨大なドラゴンにモテル原因は、働かないで歌と喋りに時間を費やしているから? ドンキーに投げかけるドラゴンのセクシーでパチクリした眼差しが不気味でかわいかった。
またドンキーの声を担当したエディ・マーフィのリズミカルな喋り方が、ロバのイメージとかけ離れていてオモシロイ! 人間にこき使われいじめられる印象が強かったロバのドンキーは、シュレックと一緒にいると目イッパイ元気。 粗食に耐え得るロバは、人間社会から離れ臭い怪物のそばに居るのが合っています。 シュレックにとって初めての友人がロバのドンキー。 喧嘩しながらも二人が生み出す空気は心地いい。
最終的に二人は高い塔にたどり着き、閉じ込められていたフィオナ姫を救出。 しかしフィオナ姫にはある問題が・・ それは日没を迎えると狼男のように変身してしまうこと。 その姿はシュレックの女性版のようで同じラッパ型の耳になったフィオナ。 彼女もそれを自覚し悩み続けていました。 そんな悩みを打ち砕いたのがアグリーな容貌の同じ耳をしたシュレック。 男のような逞しさを持っていたフィオナは運命の人を待ち続け、日没後に変身する自分のアグリーな姿が元に戻ることを信じていました。
しかし塔から救出されたフィオナの日没後のアグリーな姿は、運命の人シュレックの出現で変身するはずでした。 ところがフィオナに変身の気配はなく、醜いままのフィオナ。 嘆き悲しんでいるフィオナに近付き 「君は美しいよ。」 と言ったのがシュレック。 昼と夜を区別して自分を表現していたフィオナは、根っからのアグリーを身に付けていました。 根っからアグリーだったシュレックとは当然のことながら気が合い、二人は末永く醜く暮らしたという話。 冒険続きのお伽話の結末がこのように示されたことで本は閉じられました。
* 監督 アンドリュー・アダムソン * 2001年 作品
* 声の出演 マイク・マイヤーズ エディ・マーフィ キャメロン・ディアス
童話の主人公たちに祝福されたシュレックとフィオナの結婚式で流れた音楽はモンキーズの♪ “アイム・ア・ビリーバー”。
子供向けアニメ映画でこれほど大きなスケールで楽しい映像があったとは! ズバリ感動と笑いに包まれた映画。 何といっても最高のキャラクターは、キノコ型の大きなドングリに執着しているスクラットという奇妙な動物。 カラダと同じぐらい大きくてフサフサした毛のシッポを持ち、追いかけているものと同じドングリ眼のスクラットはひたすら自分だけのドングリを地面に埋めよう(隠す?)としています。
カチカチの氷の大地にクリクリの堅いドングリを埋めようとしているシーンがオープニング。 堅いもの同士をぶつけたので地表にひび割れを起こしてしまったのがスクラット。 彼の行動が氷河期の地球を左右しているようです。 氷河期の寒さを避けて他の動物たちはホットな南を目指すなか、一人逆方向の北を目指していたのがマンモスのマニー。 だから絶滅してしまったのかも・・
天の邪鬼だった(?)マンモスにヒョンなことで付きまとうことになったのがナマケモノのシド。 案の定 眠っていたシドは、一人オイテケボリをくって家族と離散。 シドに意図があったかどうかは分からないけれど、ボディーガードとしてマンモスに急接近! そして後にマンモスとナマケモノという何の共通点もないペアに参加することになるのが、二本の牙をむき出しにして周囲を驚かせるタイガーのディエゴ。 三種の共通点は哺乳類であることと孤独を愛しています。
彼らは同種族で行動することを嫌う孤独愛好家たちが寄り集まった男ばかりの凸凹トリオ。 先のスクラットは全く別行動で、ドングリしか相手にしないというこれまた特異な存在の生き物。 氷河期は天の邪鬼や怠け者タイプ・・ それに一点執着型など個性豊かな生き物が生息していた時代でした。 特にマニーは体格もあるので助け合い精神を殊更嫌っていたにも関わらず、命懸けで長い鼻を使ってディエゴを助けてしまいました。 ディエゴにとって命の恩人がマンモス。 現在まで生き残ってきたタイガーは、マンモスの血を受け継いでいるのかもしれません。
そこに加わったのが人間の赤ん坊。 世話なんてしたくない!と言いながらも、赤ん坊のことを気にかけている異種男グループは全員ママになれそう。 特にシドは自分に付けられたナマケモノという名に負けない頑張りようでお尻フリフリの大活躍! ホンモノのナマケモノはよく知らないけれど、映画のシドは首が異様に長く目が左右両極端に離れている変な顔。 しかも演技派でキツイことを言われてもめげずにケロッとしている世渡り上手組で、21世紀の今日まで命を存続させてきました。
相棒のマニーとシドを騙していた殺し屋ディエゴは最後に自分の群れから決別することを決心。 自分の仲間を裏切ってでも北に向かうマンモスとナマケモノを友人に選んだディエゴ。 北に向かう旅で培われた異種動物の友情は、冷たいけれど美しい白い雪上で完成! 無事 人間の赤ん坊を父親に手渡すことができたヘンテコチームは優しさに溢れるチームでした。
二万年後の地球の砂浜に打ち寄せられたのは、スクラットがドングリを追いかけている瞬間凍結した氷の塊。 しかし無情な波がドングリをさらっていきました。 そこで怒りが爆発したスクラットは、椰子の木に頭をぶつけて椰子の実が落下。 ドングリに似ていた椰子の実を地中に埋めようとしていた時、またまた振動で裂け始めた大地の亀裂。 最後に火山が爆発して終わるんだけれど、地球の自然災害のメカニズムはスクラットが地面に堅いものを隠す時に発生しています。 地球を生かすも殺すもスクラットの行動次第で決まってしまうような終わり方・・ なかなか考えさせられる!
* 監督 クリス・ウェッジ * 2002年 作品
* 声の出演 レイ・ロマーノ ジョン・レグイザモ デニス・レアリー
映像の初めと最後はスクラット、そして途中でも何回か意味もなく登場するスクラットに言語能力は備わっていません。
主人公レミーはフランスの首都パリから遠く離れた田舎に住んでいたネズミくん。 彼はよくキク鼻と味覚を感じる舌に特性があり、ネズミ一族の間で毒味役の仕事を任されて毎日を送っていました。 毒がないものなら何でも食べるネズミ派ではなく、味にこだわりを持っていた味覚重視型のネズミがレミー。 ネズミ一族の中でも浮いたような存在だったレミーは、ある日家族の群れから離れて一人ぼっちになってしまいました。
そんなレミーを励ましたのが、 “誰でも名シェフ” という本を書いた一流レストランの料理長グストー。 誰とも会話することができない状態で地下室に追い込まれていたレミーに、地上に上がって周囲を見渡してみるように勧めたのが本の中のグストー。 死んでいたグストーは本の中からレミーを応援し、結果的にレミーが憧れていたパリに導くことができました。
このようにレミーが敬愛する死んだグストーは、レミーが産み出した空想的存在のように描かれています。
グストーが残したレストランにヒョンなことでたどり着いたのがレミー。 彼はそのレストランの雑用係に雇われていた料理下手な新人 “リングイニ” と出会って、彼が作った不味いスープを見事な味に変貌させました。 トコトン料理ができないリングイニと料理は得意だけれどネズミのため人前に出ることができないレミーが作ったスープは美味しいという評判が立ち、グストーに対立していたイーゴまでもが認めるようになります。
その後 二人して作る料理はリングイニの帽子の中に入ったレミーが受け持ち、レミーの指示でリングイニが動き回るという奇妙でオモシロイ展開になっていきます。 リングイニの髪の毛を引っ張って合図を出すのがレミーの仕事。 引っ張られる髪の毛の通り動いて作業するのがリングイニの仕事。 二人がいなければ美味しい料理はできないという切っても切れない関係の二人は、レミーというネズミとリングイニというトンチンカンな男。
ネズミの操り人形になって右往左往するリングイニは、女の中の男? ブツブツ文句を垂れながらもネズミの言いなりになってネズミ奉仕するタイプが変な名前のリングイニ。 しかし彼は最後に料理していた人物(?)の正体をばらします。 自分ではなく、頭に隠れていた小さなネズミであることを・・
誰でも名シェフという考え方に異を唱えていたイーゴの要望に応じて、レミーが挑んだ料理は 『ラタトゥイユ(ratatouille)』 という南フランスで親しまれている田舎料理。 この “ラタトゥイユ” という田舎料理がこの映画の原題になっていて、ネズミ(rat)がかきまぜた(touille)ものという意味が込められているように思います。 ナス・ピーマン・ズッキーニなどの野菜と香草を混ぜて煮込むゴッタニ料理を食べたイーゴは、幼い頃に作ってくれた母の味を思い出したようで深い感動に包まれていました。
衛生管理を重んじるレストランの厨房に不衛生なネズミがいたことが世間に知れ渡り、当然 グストーのレストランは閉鎖され社会から消されることに・・ しかしレミーが作る秘密のレストランに足繁く通うイーゴの姿がありました。 きっとレミーの鼻と舌で絶妙な味になっていたのでしょうね。 キチキチと区別せず、ゴテゴテにしてしまうのがレミーの良さでもあり 人の反発を食らう大きな原因にもなっているように思います。
* 監督・脚本 ブラッド・バード * 2007年 作品
ネズミに似合わず、パリの空気が感じられるジャズっぽい音楽が印象深かった。
この映画を観ようとしたキッカケは、ディズニー・ランドの主役がネズミだったことと 日本で十二支のトップ (方角は北を指す) が 『子』 だったこと。 子をネズミと読むのも何か変だしネ。 そこでヒントになるものはないかと DVD をチェックしていて、このネズミが主人公 (スチュアート) の映画に出会うことになりました。 何かに集中すれば道はこのように開けるものだと思います。 しかし真実は偶然。
物語はリトル家のパパとママが一人息子ジョージのために弟を養子として迎え入れるめ、養護施設を訪問して選んだのが人間の子供ではなくネズミの子(?)。 どうしてこの施設にネズミがいたのかは不明ですが、リトル家の両親はネズミを養子に選びました。 しかしジョージは全く気に入らず楽しんでいるのはリトル家のパパとママとその親族。 リトル家と白いネズミはどこかで惹かれ合う運命にあるのかもしれません。 特にネズミのスチュアートはキチンと会話ができる賢い子で、物事に懸命に取り組むところがかわいかった!
リトル家で飼われていたのがスノーベルという名の猫。 猫はネズミを食うのが一般的な社会の掟なのに、リトル・ファミリーの世界では家族になっています。 一度は食べようと試みたスノーベルだったけれど、ママに叱られそれ以降 同じ屋根の下で暮らしています。 普通は猫に追われて逃げ惑うことが多いけれど、スチュアートとスノーベルは互いに助けたり助けられたりして仲のいい友達になっていきます。
スチュアートくんは人間 (リトル・ファミリーだけだと思う) とも会話ができて、さらに猫一族とも会話ができます。 しかしスノーベルはリトル・ファミリーとの会話はありませんでした。
ということはリトル関係者は猫と話ができないということだと思います。 ネズミとなら話はできるけれど、猫一族と話ができないのがリトル・ファミリー。
特にミセス・リトルのスチュアートに対する愛情は、我が子以上のものを感じました。 人間の子のジョージも初めは相性が悪かったけれどしだいにスチュアートと仲良しになって親族も集まり、三人と一匹から結束力がカタイ四人家族になりました。 やっと自分の居場所を見つけたスチュアートの安心した表情がステキ!
SFX を駆使したスチュアートやスノーベルの細やかな表情が伝わってくるところがいい。 物語の矛盾はサラサラ流して、仲がいい猫とネズミを味わうのも楽しみの一つだと思います。 ディズニー・ランドの住人はネズミたち、そして十二支のトップは子! 因みに十二支に猫は参加していないので猫の方位は定まらない? 猫に食われず生き残ったネズミは北を目指す生き物ということ・・ カナ?
* 監督 ロブ・ミンコフ * 1999年 作品
* 出演 ジーナ・デイヴィス ヒュー・ローリー ジョナサン・リブニッキ
リトル・ファミリーが飼っていたのは猫で、ネズミは飼われる立場にはなく家族の一員でした。