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- 2022.04.05 Tuesday
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夜が明けきらない薄暗い時、主人公・ビルの耳元に飛び込んできたのが“イエス”と囁く声。何がイエスなのか理解できない彼はイエスを繰り返す何者かに終始振り回されることに・・突然イエスマンに魅入られ付きまとわれるビルは、娘二人の父親であり仕事一辺倒の会社社長。
広大な敷地面積を有する屋敷には大きな図書室まであり、召使いが家族の食事を作る大富豪一家。彼の奥さんはすでに他界している様子で、二番目の娘スーザンに恋の手ほどきをするビル・パリッシュ。65歳の誕生日を控えたビルは仕事一筋の半面、恋は情熱だ!などと歯が浮くようなことを言っています。「恋を知らない人生は意味がない・・そんな恋をする努力をすることが生きること」という彼の哲学と65歳という年齢が今一つ合致しないし、誰かの言葉を借りているような気もするんだけれど。
その誰かの言葉というのが人を死ぬ気(真剣に生きる気持ちと似てる)にさせる死に神! “心をオープンに・・いつか稲妻に打たれる”とスーザンに告げる父親ビル。
そして父が発した言葉と同じ言葉をコーヒーショップで出会った若い青年がスーザンに投げかけることからスーザンのパパと名前も告げないまま別れてしまった青年との怪しい関係が物語の前半で示されています。「稲妻に打たれるまで待つ」という言葉をスーザンに言った彼こそブラッド・ピットが扮した死に神で、才能豊かなパッリシュを死の旅(生きることを問いかける)に導く案内人。
生死を司る死に神はこの映画で見る限り精神は大人の男ではなく少年のよう。特にピーナッツバターをほおばる仕草がひょうきんでカワイカッタ! 突然の心臓発作や何度も繰り返される死に神の“イエス”という声を奇妙に感じていたビルの前に突如 彼の分身的存在の死に神が登場します。二人の出会いはビルの屋敷の広い図書室。
ビルが咄嗟の判断で死に神に名付けた名前が“ジョー・ブラック”。彼もその名前に納得して自らジョー・ブラックと名乗り、そのままジョーはその屋敷に居就いてビルと行動を共にするようになります。会社の役員会にまで出席するジョーに対してビルの家族が不信を募らせる一方で、スーザンだけは先の出会いの影響からかジョーに惹かれている様子。
他人から見ればビルは影のような存在のジョー・ブラックに振り回されているように見えたはず。年齢を重ねキャリアも十分あったビルは不自然なぐらいジョーの言いなり。また住む世界が違うスーザンを愛し始めていたジョーはスーザンも一緒に連れていきたい意思をビルに打ち明け、これにはパリッシュ氏も怒り心頭! ジョーの言いなりだったパリッシュが初めてジョーと対立しなければいけない理由は娘スーザン。
「わたしの人生に意味を与えてくれた」これは死に旅立つビル・パリッシュがスーザンに言った言葉。さらに続く言葉は「何があっても私のことを心配するな。私は幸せで悔いはない。」 ラストのパーティーで披露された父娘のダンスは恋人同士あるいは年齢が離れた夫婦のようだった。そして夜空をそめる大輪の花火の煌めきがビルの人生に拍手しているようで心に響きました。“去りがたい・・それが生だ”という言葉を残して二人は橋の向こうに・・ 余談ですが、レクター博士よりビル・パリッシュの方が断然好き!
監督 マーティン・ブレスト 1998年 作品
出演 ブラッド・ピット アンソニー・ホプキンス
★ エンド・クレジットで流れた音楽はウクレレの音色がかわいいハワイのミュージシャン(IZ)の♪Over the rainbow〜What a wonderful world♪でした。