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    スフィア

    • 2009.12.20 Sunday
    • 22:37

        

    エスマルが観たバリー・レヴィンソン監督作品の中で最も影響を受けたのが“トイズ”。トイズ以来レヴィンソン監督映画を意識して探す(最近は中古DVDを購入)ようになったエスマルがたまたま出会ったのが球体を意味する“スフィア(sphere)”。全く知らない映画の題名だったけれど、レヴィンソン監督ということだけを信じて興味のない海底SF映画(マイケル・クライトン原作)を鑑賞。海底に潜んでいた意識を持った巨大な金色の珠が人間とコミュニケーションしようとする理解しにくい映画。

    物語は300年前に無傷で墜落した未知の宇宙船調査(時間軸が歪んでる)のため集められた専門家たちが海底探査を始めるところからスタート。生物学者・数学者・物理学者などに加えて何故か主要メンバーに選ばれたのがダスティン・ホフマン扮する心理学者ノーマン。マザコン男の映画“サイコ”を思い出すノーマンが心理学者というのも奇妙な話。海底探査に政府から要請されたノーマンは以前 異星人に如何に対応するかという論文を発表したことがあり、その時に作成した論文に記されていたメンバーが南太平洋上に集結することになります。ノーマンの考えを文字にしたデタラメ論文が現実に起こるという奇跡のような話。

    生物学者ベスはかつてノーマンの患者という立場にあった女性で、数学者の黒人ハリーもノーマンの古い知り合いとかでプライベートつながりのメンバーが海底探査に挑む映画。先に観ていたレインマン・わが心のボルチモア・トイズなどとは全く合致しないイメージの映画で、何とかレヴィンソン監督の主旨に近付くためオモシロクナイ映画を二回続けて鑑賞しました。忘れないうちに続けて二回観ると少しは洞察力が増すような感じ。そしてその自画自讃洞察力の結果、この映画の感想を一言で表現すると“スフィア・パワーのすごさ”かな。(二回も観て表現力はこの程度?)

                   

    米国は宇宙探査のため巨大な宇宙基地を海底に建設していたようで、その海底宇宙基地にあったのが巨大な球体スフィア。ドアも窓もなく完全に閉ざされていた物体のように見えるスフィアはコミュニケーション相手を選ぶ意識がありました。表面はゴールドで何かを映し出す鏡のような役割を果たし、ハリーはスフィアの中に入ることを望んでいました。そしてスフィアにハリーが映し出されると同時に吸い込まれるように球体侵入。意識を失い倒れていたハリーを助けたのがノーマンで、彼もまたスフィアに映し出されていたのでスフィア侵入をしたってこと? その後意識を回復したハリーは以前の彼とはかなり違う印象を受けました。

    物語のキーワードになっていたハリーの愛読書“海底二万マイル”の中でハリーが極端に嫌う巨大なイカに襲われる話が記されている88ページ以降が白紙になっているという展開がオモシロイ。87ページまではハリーが読んだので文字で埋まっているけれど、それ以降は怖くて読めないというハリーの意識が反映された本の白紙ページを形成していたのが特殊能力を持ったスフィア。スフィアの中に入ると脳で考えたことや睡眠中に見た夢が事実になって現れるパワーを身に付けてしまう特徴がありました。先のノーマンの論文やハリーの愛読書がその事実を物語っているように思います。

         

    しかし恐怖に支配されやすい人間が脳で想像したり夢に見る場面は、巨大な何かに追われたり自分の周囲にいる他人を疑うことばかり。スフィアの中に入ったハリーの意識が表面化しクラゲに襲われ死者まで出してしまうのは夢なのか事実なのか。その奇妙で信じられない事実に気付いたのがノーマンとベス。その後、彼らもスフィアによって選ばれた特殊パワーの持ち主であることが判明。人間の恐怖が現実世界に恐怖を生み出すシステムを理解した三人はこのスフィア・パワーを使えこなせないと確信。そんな彼らの意見が一致すると同時に黄金色のスフィアが海面上に飛び出してくるという結末は何を意味しているのか。

    現実の恐怖なのか夢の中の恐怖なのかハッキリしない恐怖を潜り抜け、最後まで生き残ったのがノーマン・ベス・ハリーの三人。その三人の中で一番パニックになっていたのが心理学者ノーマンでした。彼の患者だったベスの方が事実を把握する能力に秀でていたようで、最後の爆破装置を押したのはベス。かつて自殺未遂を引き起こしたことのあるベスですが、男連中に混じって活躍できるパワーはスゴイ! また冷蔵庫が空っぽになったり、冷蔵庫内が海底二万マイルの本で埋め尽くされたりする理解不能シーンも多い。これらはベスやハリーの心理が具現化されたってこと? 宇宙を左右する巨大なパワーの持ち主スフィアは最後に海底から大きくジャンプして、どこかに消えていきました。

    * 監督 バリー・レヴィンソン   * 1998年(米)作品
    * 
    出演 ダスティン・ホフマン シャロン・ストーン 

    ★ 意識を回復したハリーは丸いものなら何でも食べていたのに、オニオン・リングのつもりで食べたイカを吐き出した理由は足がたくさんある生き物だから?

    ディスクロージャー

    • 2009.10.09 Friday
    • 22:22

        

    パソコンの新機種を市場に出しても季節が変わればもう旧式になってしまうのがこの業界。
    現在普及しているパソコンも以前より多くの機能を備え値段も安くなっている現状に対し、企業側はあの手この手でシノギを削らなければ生き残れないのがハイテク関連会社。パソコンを使う側の個人にはありがたいことですが、製造する側の企業は消費者に見放されれば一巻の終わり。そしてその企業に勤める一個人も肩が凝っていないのに突如肩を叩かれる現実に直面するのは映画だけに限らない。

    その不本意な肩タタキに遭遇したのがハイテク企業ディジコム社の中堅幹部トム・サンダース。会社への貢献度は高く周囲の気配りもマメな彼が突如巻き込まれた組織ぐるみの渦の中。この会社は部屋と部屋を仕切る壁がなく透明な防音ガラスだけで仕切られた特殊な設計で、一階部分は広い吹き抜けになっているので上から下を全体的に眺めることができる舞台みたいな構造になっています。しかし会社内部の社員同士で管理し合うメリットにもなっている雰囲気で、こんなスースーした風通しのいい会社は珍しい。そんな透明感が感じられた会社がグルになって追い出し作戦(標的はトム)という渦を展開します。
                    

    透明な会社であるが故に発覚したトムの肩タタキはトム以外の人物はみんなすでに了解済みで、知らないのはトム一人。“
    まるでピエロだ”と揶揄される中でトムは落ち込みショックを受けますが、メールを通じて支えようとする友人(A Friend)の存在(映画のキー)が彼の励みになっていました。そんな裏工作担当者の一人が部下の男(かつての恋人トム)をセクハラした女上司メレディス。組織内部で実践されるパワハラやセクハラはされた方の首がカットされる可能性があるのでそう簡単には公にできない。この映画の場合も男女が逆転しているけれど間違いなく上司が強要したセクハラで、された側のトムは自分の首を賭けての訴訟に挑みます。

    しかし女上司のセクハラ以上にトムを苦しめたのは会社全体でトムを締め出す計画だったこと。資金繰りで合併話が持ち上がっていたディジコム社なので、組織として都合悪い存在がトムだったのかも。上司だけでなく仲間と信じていた同僚からも爪弾きにされ、行き場を失いかけていたトム。組織一丸となって肩を叩く企業体質は米国も日本も似たようなもんで、組織内部はこんなもん! 追い詰められたトムはそれでも泣き寝入りせず巨大な組織を相手に挑戦状を叩きつける勇気は立派。自分を陥れようとした裏工作を見破り、メレディスを左遷に追い込むことに成功した彼は膨大な情報の中から必要なものだけを釣り上げることができる釣り名人でした。

         

    タイトルの“ディスクロージャー(
    disclosure)”の意味するところは“暴露”あるいは“発覚”。マイケル・クライトンが書いた同名小説を映画化したのが最近意識するようになったバリー・レヴィンソン監督。波長が合う監督という感じで、世の中に投げかける辛辣な表現と淡々としたユーモアとテンポの良さが好き。当時も今も変わらない組織の中で生き残るためには上司に従うしかないのが部下の現実。そんな環境に置かれながらも立ち上がったトムは今まで忠誠を尽くしてきた会社に自分の首を賭けていました。もしトムが保身に重点を置いていれば泣き寝入りで済ませていたんじゃないかな。命懸け同然で挑んだトムの勇気が組織ぐるみの罠を崩壊させたのは観ていて気分ヨカッタ!

    だって女が男を犯すサクハラは世間ではまず信用してもらえないし、女の肉体を武器にして男に迫るメレディスは女の涙をさらに武器にするようなタイプで女っぽい女なのか男っぽい女なのか、はたまた女っぽい男なのか。こうしてデミ・ムーアが演じたメレディスにより窮地に追いやられていくかわいそうなトムですが、演じているのがプレイボーイ全開のマイケル・ダグラスなのでどちらもドッチ! 男たらし系メレディスと女たらし系トムはかつて恋人同士だったという設定ですが、確かに別れた方がヨカッタみたい。再会してすぐに職場で激しいセックスが展開するんだから、一番やってられないのはもしかして会社?

    * 監督 バリー・レヴィンソン    * 1994年(米)作品
    * 出演 マイケル・ダグラス   デミ・ムーア   ドナルド・サザーランド

    ★ 迫るメレディスを突き放し階段を駆け下りるトムに投げかけた女上司の捨て台詞は「もどって私を抱きなさい!」

            YouTube - The Virtual Reality device from Disclosure

    バンディッツ

    • 2009.09.02 Wednesday
    • 22:21

       

    犯罪ワイドというテレビの報道番組で第二のボニー&クライドと称されたのが銀行強盗を繰り返していたジョー&テリー。相反するタイプの二人が出会ったのは檻の中。
    自分は持病持ちだと信じきっているのがテリー。一方のジョーはボクシングで歯が欠けたことに怒りを爆発させ、思わずミキサー車の運転席に飛び乗り刑務所から出奔。
    助手席にはジョーの相棒テリーが乗り込み、ミキサー車と共に脱獄に成功した二人。
    マスコミ報道されていたTV内容と大きな食い違いがあったジョー&テリーのインサイド&トゥルー・ストリーは痛快!

    ドタバタと何の計画性もなく脱獄に成功してしまった二人が次にしたことは相変わらず計画性のない銀行強盗。拳銃の代わりに突きつけたものはボールペン。しかし突きつけられた側の人たちは彼らに素直に従い、計画性のないジョーとテリーの銀行強盗は見事に達成されてしまいます。調子のいい物語展開ではあるけれど、銀行強盗に出くわした側の間の抜けた特殊なキャラがユニーク。脱獄してきたようには見えない紳士的雰囲気を持ち合わせていた二人はいつの間にかテレビの人気者。計画性のない彼らは行き当たりバッタリで脱獄し、その時気分で銀行強盗を成功させた無法者バンディッツ(bandit)。
                   

    そんな二人に絡んでくるのがジョーの従弟で一流のスタントマンを目指していたハーヴィー。危険を顧みない彼のスタントマン・パワーが最後に発揮されるのですが、前段階では相変わらずドタバタ。そしてもう一人の絡み人はセレブ主婦だけでは満足できず、エキサイト人生を求める頭のネジが幾分緩んだケイト。そんな人妻ケイトを好きになってしまったのが体育系ジョーと文系テリー。見事な三角関係が出来上がってしまう男女の物語は全くドロドロ感がなく、三角関係の泥沼を干上がらせるぐらいのバンディッツ・トリオのドライな風が心地いい。

    また金を強奪する際の彼らの論理が興味深い。保険が下りる範囲の金しか盗んでいないので銀行に貯蓄している人たちの貯金は守られているし、大金持ちから拝借しているだけのことだ・・みたいな話に銀行関係者も納得している様子。説得力ある金の強奪と傷つけない周囲の配慮(?)で彼らはヒーローのように祀り上げられ銀行強盗に入った先でもウェルカム的扱いがなされ、マスコミでますます人気者になっていくバンディッツ。犯罪ワイドのニュース・キャスターが何度も登場する話と逃避行を続ける彼らの実体とは大きな差がありました。

         

    欲求不満のケイトが加わったことでやはりギクシャクするのは男女の仲。ドライ関係の三人ではあっても自分の女にしたい気持ちはジョーもテリーも同じ。ケイトをめぐって争う男二人の間にはいって言った彼女の言葉がこれまた調子がいい。「どちらかを選べ」と言う二人の男に「二人はワンセットなので選べない」というのがケイトの答え。相反するタイプのジョー&テリーはケイトから見ると二人で一人のワンセット? マスコミでは人質扱いされているケイトなのに、インサイドではケイトを奪い合うずれた展開。

    いつまでも銀行強盗を続けていられないと判断したワンセットのジョー&テリーの最後(最期)の舞台もやはり銀行。パラダイスを目指すには金が必要だったせいで金にトコトン執着していたバンディッツと危険承知で劇を演じるスタントマン。無計画だった彼らが最後に演じたのは緻密な計画がなされた内輪揉めによる破壊劇。その後押しをするのがヘリコプターに身を潜めたスタントマンとその彼女。ニヤッと笑えるエンディングは気分爽快。その一方で報道番組が伝えるニュースは深刻そのもの。ドラバタ映画ですが、緻密な計算のもとマスコミ報道とインサイド・ストーリーの食い違いを皮肉り笑える映画になっていました。

    * 監督 バリー・レヴィンソン   * 2001年(米)作品
    * 出演 ブルース・ウィルス   ビリー・ボブ・ソーントン 

    ★ 明日がなかったボニー&クライドに対して明日を自分のものにしたジョー&テリー&ケイトでした。       
               YouTube - Bandits Cate Blanchett

    トイズ

    • 2009.08.11 Tuesday
    • 23:13
             

    1942年生まれのバリー・レヴィンソンが50歳の時に監督したオモチャたちの戦争映画。エスマルにとってはかなり考えさせられた映画で、戦わざるを得なかったゼンマイ仕掛けで動く無垢なオモチャの心情が切ない。おとぎの国を演出するオモチャ工場の社長の後を継いだのが戦争システムを愛する社長の弟リーランド。創業者である社長が後継者としてホントに望んでいたのは息子レスリーだったけれど、父親の目から見て息子は野心もなくイカレポンチのジョークばかり言って周りを笑わせているだけの気のいい男。そういう理由もあってか、あえて社長の席にレスリーと正反対のリーランドをすえることに・・

    ふざけたことを言って周囲を笑わせる憎めない男レスリーは大人になってもオモチャ好き。自分で発明した数々の笑いを生みだすオモチャは子供たちの笑いを誘うだけでなく、レスリー自身が一番楽しんでいる様子。しかし会社を引っ張っていく必要がある社長にレスリーは不適格であることを見抜いていたのが死んだ父親。自分の棺に笑い袋を入れるよう手配していたのがジボ・オモチャ会社を創業したレスリーのパパ。心臓のペースメーカーを頭にかぶったヘルメットのプロペラに接続していたパパはかなり変! そしてパパは社長職を弟に譲るという遺言を残し心臓発作で死にました。

                    

    軍隊の厳しい統制を重んじるリーランドには息子パトリックがいました。親子そろって軍隊システムに傾倒する父子ですが、意外にもそのルーツはリーランド(弟)とレスリーのパパ(兄)の父親にあり、未だに多くのバッジがついた軍服を着て横になっているレスリーの祖父はリーランドのよき相談相手で、意味不明の言葉を喋っています。同じ兄弟でも全く正反対のユーモアを持っていたのがリーランドの兄でありレスリーのパパでもあったジボの創業者。しかし子供に夢を与えたネジで動くオモチャの時代は終わりコンピューターが制御する戦闘ゲームが主流になってしまった今、過去のオモチャはお蔵入り。

     
    時代の流れに対抗しても勝てるはずがない無力なオモチャが、軍隊オモチャ工場に変貌させたリーランドに戦いを挑みます。ハイテクを駆使した戦闘ゲームはオモチャの世界だけにとどまらず、人と人の場合もいつ訴訟問題に発展するか分からない怖い現代。弱い者は強い者にヤラレルだけの単純な世界が今の社会を牛耳っています。ユーモアなどは吹き飛ばされ、強い者に従う道しか残されていない現実に警告を発しているように感じる映画。初めのファンタジー要素だけでは生き残ることができない厳しい現実に直面し、本気で叔父に立ち向かう気持ちになったレスリーと人間離れしている妹アルセイシア。(特殊な食事風景が人間離れしていることを示していました。)

             


    敵だったパトリックがレスリー側に寝返り、バーチャル画面でオモチャ兵器とゼンマイ仕掛けのオモチャが戦闘開始! しかしバーチャルといえどゼンマイ仕掛けのオモチャの無力さが切ないまでに表現されていて、巨大な組織につぶされていく小さな会社や個人の現実的苦悩とだぶります。そんな戦いの最中、ネジを巻いた髪の毛のない女の子のオモチャがスカートの後ろを食いついた犬と一緒にチャッカリ手を上げながらこのバーチャル世界からの脱出に成功! 頭を小刻みにゆすりながら「こんな世界はモウイヤダッ!」と言わんばかりに脱出するサマはかなり笑えた。


    ゲーム感覚のミニチュア戦闘兵器を現実の社会で使おうと考えていたリーランドは抹殺され、
    平和が訪れるジボ・オモチャ会社。レスリーの父が何故軍国主義の弟に社長の席を譲ろうとしたのかを理解した息子は初めて本気になって社会の現実に向き合いました。何もできないはずのオモチャのネジを巻き、自らを戦場に立たせたレスリーは以前のイカレポンチから大変身。戦うことは絶対しないオモチャが自分たちの楽しい世界を守るために命を懸けた姿は美しい。

    * 監督 バリー・レヴィンソン    * 1992年(米)作品

    * 出演 ロビン・ウィリアムズ マイケル・ガンボン ジョーン・キューザック


    ★ ♪ウゥ〜ハァ〜ウッハッ♪という戦闘リズムが耳に残ってしまったヨ〜。

    わが心のボルチモア

    • 2008.05.23 Friday
    • 10:50
             

    日本人にも比較的聞きとりやすい訛りのある英語を話していたのは、サム・クリチンスキーという かわいいような変な名前の東欧系アメリカ人。 故郷の東ヨーロッパを離れてアメリカ大陸の地を踏んだのが、1914年7月4日 光の祭典に彩られた独立記念日でした。
    大きな靴をはいた小男に導かれてたどり着いたのが映画の原題であるアバロン(AVALON)という名の高い塔。 そこでクリチンスキーの兄たちに出会って、サムは壁紙貼りの仕事に従事しクリチンスキー・ファミリーはその後 壁紙職人としての腕を磨いていきます。

    このクリチンスキーという名前は、東欧のどの国なのかということが気にかかり 映画の中にそのヒントが隠されているはずと注意深く観ていると、家族の宴会中に話題にのぼっていた故郷のお酒がそのキッカケを与えてくれました。 そのお酒の名は、『スリヴォヴィッツァ』 というスモモを原料にしたブランデーに属する酒らしい。

    度数が極めて高く(70度)1ブロック歩いただけでフラフラになるぐらいのキツイお酒。 この酒の製造元はポーランド。 そういえば、ポーランド出身のキェシロフスキ監督の名前もスキ系! クリチンスキー・ファミリーはポーランド家族だったことが判明しました。

    ポーランドの国旗が以前からずっと気になっていました。 イタリアやフランスのように縦三色ではなく、横二色(上が白で下が赤)の国旗です。 三は陽数 二は陰数ということを当てはめて考えると、ポーランドは陰数すなわち女性が中心になっている国であるのかもしれません。 いわゆる女系家族の国がポーランド?

                          

    ポーランド出身のクリチンスキー・ファミリーは、初めはアバロンという小さな家が密集している通りに家族みんなが集まって生活していました。 しかし時間の経過でサムと息子夫婦は庭付き郊外に引っ越し、しだいにバラバラになっていきます。 一族が集まって生活していた夢のような日々は、遠い昔のことになっていきました。

    サムの息子ジュールスは結婚して名前をケイに変えました。 アメリカ社会では幾分 奇妙な感じがするクリチンスキーという名を嫌っての改姓。 こうしてクリチンスキーというポーランド的な名前は、全く違った名前に変わっていきます。

    タイトルのボルチモアは、大西洋に面した東海岸メリーランド州の最大都市。 またアメリカ独立戦争で大国イギリスに抵抗して 自分たちの土地を守り抜いた地域としても有名なのがボルチモアで、レヴィンソン監督の故郷でもありました。

    サムがアメリカの地に立った当時はラジオの時代で、これから到来するテレビを代表とする電化製品を安く売る店をオープンさせたのがサムの息子のジュールス。 従兄弟とともに立ち上げた店の名は “K&K” でカールとケイの頭文字になっています。 順調に売り上げを伸ばして新たな K&K ビルのオープンの日が、独立記念日の7月4日。 そしてその日の夜にオープンしたてのビルは、漏電が原因となって出火。 丁度 7月4日の独立を祝う花火のように火の粉が舞って、K&K は消滅!
                         

    故郷を捨てて異国の国に腰を下ろそうとした一代目サムは、移民としての苦労を体験していたはず。 しかしアメリカで生まれ育った二代目ジュールスは、アメリカ社会にうまくとけ込み商売上手な面を発揮して店舗数を増やしていた矢先の大火災で すべてを失ってしまいました。 一代目から二代目に手渡されたバトンは、名前も変わり生き方も全く異なるものになってしまうのは 仕方がないことなのでしょう。
       
    流れる時間は残酷ですべては消えていくだけだと分かったサム。 年老いて幾分ボケも始まっていた彼は、自分の脳裏に刻みついていた夜空を舞う火花だけはいつも思い出していました。 異国アメリカを自分の故郷に定めたその日に見た美しさが彼を支え続けたように思います。
                   「1914年7月4日 私はこの地を踏んだ。」
    この言葉を幼い頃から聞かされ続けていた孫のマイケルは、成長して我が子にサムと命名していました。 すべて消えてしまいそうな人生のなかで、孫のマイケルはサムの家族に対する熱い思いをキチンと受け継いでいたように思います。

    * 監督 バリー・レヴィンソン     * 1990年 作品
    * 出演 アーミン・ミューラー・スタール  エリザベス・パーキンス  イライジャ・ウッド

    靴  サムが若い頃に初めて体験し新鮮に感じたことすべてが、その後の消えていく時間を生き抜くための原動力になっていました。

    レインマン

    • 2008.03.11 Tuesday
    • 16:28
    雨男とは全く関係がないけれど、耳から入ってくる名前に注目させられます。 “ウ〜ン・・なるほど!”と
    かなり納得させられました。 
    ウマイッ!(日本語ではこうはいかない)

    タイトルに反して(?)雨の日には絶対 外に出たくない自閉症のレイモンド(何度か声を出して早口でこの名前を言ってください・・わかった?)と 口先でうまく
    その場しのぎで乗り越えていく 弟チャーリーの二人の異なるキャラクターがはずれながらも、たまにかみ
    合う面白さが魅力的!

    突然の父の訃報と同時に、今まで見たことも聞いたこともない兄がいることを知らされたチャーリー。 しかも遺産のほとんどは兄のレイモンドが受け継ぐことが遺言に記されていました。 自分に残されたものはイワクツキの一台の車と刺すトゲが痛いバラの木。 自分は一人っ子だと思っていたチャーリーに突然現れた正体不明の兄・・故郷の精神病院に入っていてテレビのことばかり気にしている変なヤツが兄であることを知ります。

    遺産すべてをレイモンドが受け継ぐことを阻止するため、チャーリーは その変なレイモンドを相手に対処せざるを得ない立場に立たされることになりました。 「こちらの方がおかしくなるッ!」と叫びながらも、チャーリーは気になるレイモンドの世話をまめにしています。 お金が絡むと人は頑張ってしまうのです。

    社会対応はまるでできないけれど、数字の天才的記憶力を持つレイモンドと連れ立ってラスヴェガスで大当たり!
         
     その後 男二人でラスヴェガスのキラキラ輝くネオンを見下ろし
     ながらダンス・ダンス・ダンス。 
     さらにフラフラもたつきながらレイモンドの運転でこの街を後にし
     ます。

    大変だったけれど楽しい時間を過ごしたチャーリーは、レイモンドを レインマンではなく親友“main man”(メインマン)に感じ始めていました。 

    心が通じ合ったと一人で思っているチャーリーと 相変わらずテレビのことばかり気にしているレイモンドの別れは雨降りのようなウェット感はなく、レイモンドはレインマンの傾向は全くなさそうでした。 初めはお金のために関わったレイモンドが、過去もそして現在もキラキラ輝く太陽の存在であることにチャーリーは気付き始めました。

    * 監督 バリー・レヴィンソン    * 1988年 作品
    * 出演 ダスティン・ホフマン    トム・クルーズ 

    小雨 社会対応できなかったレイモンドは精神病院に入っていて記憶力抜群でお金に興味がないタイプでした。 では社会対応を完璧にこなす人は・・ムニャ・・ムニャ・・ムニャ・・       

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