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- 2022.04.05 Tuesday
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今から丁度20年前の秋(1989年11月9日)、突如ベルリンの壁が崩壊したというニュースが世界を駆け巡りました。それから2年後の1991年末、米国と対立関係にあったソ連が崩壊したというニュースも世界を駆け巡りました。20世紀最後の10年で新たな21世紀が展開しそうな予感は大きく外れベルリンの壁が壊されてもソ連が解体しても現実の一般庶民の生活は何ら変わることなく(むしろヒドクなってる)20世紀を終え21世紀になっても貧困層の苦しみは改善されることなくダラダラ続いています。
この映画の主人公となるチャーリー・ウィルソンは現実に存在したテキサス州出身の民主党下院議員。たまたまテレビで報道されていたソ連軍によるアフガニスタン介入の映像を見たのがキッカケで彼は現地を視察し、窮地に追い込まれていたアフガニスタン援助を真剣に考え始めます。女と酒にしか興味がなかった田舎者の彼を応援(利用?)したのがテキサス州の大富豪女性ジョアン。ケバイ化粧で目立つ彼女は共産主義が大キライ! 打倒ソ連を目指していたジョアンとCIAのはみ出し者ガストの協力を得てアフガン支援に乗り出すのがチャーリー・ウィルソン。
時代は米ソが対立していた冷戦時代で、結果としてアフガンに攻め入ったソ連はその後崩壊という道筋をたどります。そのソ連崩壊の一つの要因が米国議会の予算から拠出されアフガンに渡った大量武器の調達。ソ連との表立った対立を避けたかった米国は秘密裏に大量武器をアフガンに流すことでソ連のアフガン侵攻を食い止めることに成功しました。この物語は実話をベースにしていることから想像するとマスコミ報道とは別に裏で進行する話が必ず出来上がっているような感じ。
神社も寺も教会もすべてひっくるめて観光の対象になってしまう可能性がある精神はいったいどこから来るのか。要するに金儲けを優先する国が日本で、個人が信仰するモノにいちいち関わってられないというのが日本の現実? 日本で信仰されるべきものはマネーが一番。アフガニスタンという国のことはよく知りませんが近年のニュースで賑わしたタリバンがこの国の政権を掌握し、その後米国がイラク戦争を引き起こすことにつながっていきます。
チャーリー・ウィルソンがしたことはヨカッタのか悪かったのか・・いずれ答えは出るというような会話が映画に挿入されていたけれど20年という時を経ても平和なアフガニスタンには至っていません。多くの犠牲を払い多くの人たちの血が流れても平和にたどり着けないことは悲劇です。そういう面で考えると我々が生まれた日本は戦後の痛みを克服し金儲けに邁進してきた結果、取りあえず平和な国が維持されたという点においては先人たちに感謝しなければいけないのかも。日本は宗教より金!
* 監督 マイク・ニコルズ * 2007年(米)作品
* 出演 トム・ハンクス ジュリア・ロバーツ
★ この映画のように表面化しない話で歴史は着々と進行してきた可能性が・・
オープニングの♪ハウ・ハイ・ザ・ムーン♪を歌っているのは“パット・スズキ”という日系アメリカ人。独特のアレンジと歌唱力で印象的な幕開けとなる映像は1945年に設定された煙モクモクの蒸気機関車。第二次世界大戦のための陸軍兵士を養成する目的で送られてきたのが作家志望の主人公ユージーン・ジェロームを含む若者たち。ミシシッピ・リヴァーの鉄橋を渡る機関車と緩やかなテンポで歌われる彼女の歌声は、過ぎ去った時間を懐かしんでいるように感じます。
例えば訓練生が川を渡ろうとするシーンがあるのですが、普通なら何が何でも突き進んでいくよう強制されるのが訓練映画。ところがこの映画では訓練生が川の途中で突然止まり、“この川は深そうでこれ以上進めない”と意見を述べます。訓練生の意見は長官に無視されないで選ばれた代表が深さを確認するよう指示が出されます。そしてその結果この川はかなり深いことが分かり、あっさり進路変更! 何が何でも命令に従え〜とはならず、危険性がある川を避けるという判断は好きだなあ。
またジェロームと同じ機関車に乗り合わせたユニークな存在がエプステインという学者タイプの青年。ジェローム同様 長官の言うことに敢えて逆らうタイプで当然のことながら長官に睨まれることに・・しかしこの映画の意外性はラストで示されます。
長官と訓練生の絶対的立場が成立している訓練学校でありながら、教育されたのはもしかして長官だったのかも。エプステインが提案していた腕立て伏せ200回を長官がすることになる展開はなかなかユニーク!
戦争で死ぬことが決まったと仮定して、自分に残された7日間で何がしたいかという話がありました。多いのはとにかく女とヤル! 男ってこんなに単細胞なの?
筋骨ムキムキのワイコフスキーは年配女性が好きだったようで(?)、英国女王とやりたいんだって。ジェロームも童貞を捨てることが一番の願いで、ママ年齢の娼婦によってその願いは達成されます。その後のジェロームの表情は自信に溢れた様子で、ヤルことは如何に大切であるかが分かります。
長官に常に反発していたのが自称スパニッシュ・ユダヤのジェロームとホモ傾向にあったエプステイン。睨まれることを承知で反発するのがユダヤ人? 厳しい訓練を受けなければ早く死んでしまうと言うトゥミー軍曹の仇は当然ジェロームとエプステイン。しかし最後で立場が逆転するように画策したのがトゥミー軍曹だったように思います。変わり者同士で敵対関係にあった軍曹と反抗する二人の訓練生のルーツは似ているような感じ。
結局 戦争に参加する前に戦争は終結し、軍事訓練を受けただけのジェローム。18年後のジェロームは念願の作家になって“Biloxi Blues”を書き上げ、エプスタインは弁護士から裁判官になりマフィアからも恐れられる人物になったということ。若かったあの頃が一番幸せだったと回想するジェロームは劇作家ニール・サイモンのこと?
全編を通じて流れるジャズが心地よく、マイク・ニコルズ作品の中でもう少し評価されてもいいと思う映画。
* 出演 マシュー・ブロデリック クリストファー・ウォーケン
★ オープニングとは反対方向に進む蒸気機関車が鉄橋を渡るときに流れた曲は♪メモリーズ・オブ・ユー♪。
YouTube - "How High The Moon" - Pat Suzuki (Overture)