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- 2022.04.05 Tuesday
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哺乳類を数える場合、普通は一匹二匹あるいは一頭二頭。ところが“兎”だけは匹でも頭でもなく一羽二羽。鳥でもないのに何故? いくつかの諸説の中で興味深いのが狩猟対象にされていた獲物(兎)の持ち方。耳を束ね一括して持ち歩いていたことから一把二把と数えられ、その名残で一羽二羽。また獣の肉を食べてはいけない時代でも獣グループに属していなかった兎は相変わらず狩りの対象となり、どんな時代でも弱い兎は狩られる側。
そこで狩られたくなかった兎は世間から逃げるしかない。狼に食べられてしまった赤ずきんにならないためにも白を維持する必要があったのが兎? 脱兎の勢いで獣グループから脱出することが生き延びる方法だということを兎はすでに知っていました。月を故郷にした兎の仕事は餅つきぐらいで、お金のためにアクセク働く必要はない。
月とスッポンで月を選んだ兎はコツコツが嫌いだったのかも。
“遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけん” (梁塵秘抄)
今年の干支“卯”を考えてみました。
快楽主義者のミダス王(ギリシア神話)はロバの耳。
その秘密を知っているのは髪切りの床屋だけ。
兎馬とも呼ばれるロバの耳は馬の耳ではなく兎の耳に近い。
となると兎は快楽主義者?
魔女狩りと同じように昔から兎は狩猟の対象にされていました。
社会の慣例に従うと快楽は御法度!
しかし今年はウサギ年。
今年ぐらい快楽を求めるミダス王的生き方をしてみるのはどう?
全国規模に展開する神社群の中で全国ニ位の多さで各地に点在するのが八幡神社。
そのハチマンを抜いてトップの座(約二万社)を維持しているのが通称オイナリサンの“稲荷神社”。 イナリとは読みにくい“稲荷神社”は人々の間で習慣化し、いつの間にか稲荷はイナリとして定着しました。 通常は狛犬が神社の門番、しかし稲荷神社の門番は御存知キツネ。 時々 檻に入れられた門番狐に出会うことがあり、キツネがうろつかないよう厳重な警備が敷かれています。
稲荷神社の特徴は幾重にも重なるトンネル形式の朱色の鳥居。 上部と足元の部分が黒く全体的には赤い鳥居が重なり続ける独特の異空間に突入してしまえば詩の世界が待っている? 稲荷神社の主要な祭神は“ウカノミタマ”で、肉体を持たない神のような感じ。 古事記は“宇迦之御魂”日本書紀は“倉稲魂”と表し、スサノオノミコトと二番目の妻・神大市比売との間に誕生した子がウカノミタマ。 不自然なぐらいウカノミタマの物語はないのに、神社群の中では最も多く祀られているという事実。
日本書紀の一書に記されたウカノミタマは、両親(この場合はイザナギ&イザナミの神生み)が飢えていた時に誕生した子という風になっています。 光を遮断する鳥居の中の細道を突き進んでたどり着く場所は黄泉の国(母の国)のイメージ。 ウカノミタマの父スサノオノミコトも母が棲む黄泉国を自分の目的地に定めていました。
また稲荷神社に祀られているウカノミタマ神は“御食津(みけつ)神”とも呼ばれ、
ミケツ神を“三狐神”という漢字で表記することもありました。 関西では“キツネうどん”を“ケツネうどん”と呼ぶこともあり、狐を意味する古語“キツ”は“ケツ”と同じ意味だったと考えられます。 騙すイメージが先行するキツネが“御”という冠をかぶせられるとウカノミタマ(ミケツ)になる。 ウカノミタマ本来の姿はもしかしてキツネ?
稲荷神社の門番キツネが口にくわえているものが以前から気になっていました。
ほとんどのキツネは球体の玉と円筒形の筒(そうでない場合は鍵)を口にくわえています。 この一対のキツネが口にくわえた二つの物体に何の意味があるのか・・
そこで思い出したのは狐が口から吐くという狐火。
キツネが口にくわえているのは夜空を焦がす花火のようなものカナ。 夜空に花火を打ち上げる際の掛け声がタマヤ〜!とかカギヤ〜! 江戸時代の花火屋の店名が玉屋と鍵屋だったらしく、その名残りが現代にまで受け継がれてきました。 伝説の狐火とキツネが口にくわえているものと花火の関係は?
狐火とは怪火・鬼火・燐火などと呼ばれている火のことで“狐の提灯”という言葉もこの狐火を表現しています。 深い森で暗い夜道を照らすのが狐の提灯の役目。
行き場を失った旅人が狐火に出会って目的地まで辿り着くことができたという話もあり、人間を惑わす反面 迷子になった旅人の足元を照らすことができたのがキツネ。
実体が感じられなかったウカノミタマは人を騙し惑わす狐ではなく、生死の境をさ迷った人にだけ見ることができたキツネが放つ一瞬の花火のようなもの。 道案内が得意なカラスに対抗してキツネも火で道案内ができたのかも。 人間を騙すことが得意だったカラスやキツネは騙すだけの動物ではなかったはず。
しかし騙された方は怒りが爆発してこれまた火花が飛び散る可能性があり、騙し騙される関係はまさに火遊びでは済まない。 キツネが嫁入りする時は相反する雨と太陽が混ざり合う時。 相反するものが憎しみ闘うのではなく、相反するものが一つになることを願ったキツネ族に属する人たちは赤と黒の鳥居に覆われた光が射さない細道を突き進んでいきました。 そこに一瞬の輝きを放つ火があるかもしれないから・・